アサギマダラ
暮らしとの関わり
 HP「石黒の動植物」の製作を始めたのは、2005年頃である。 以来、十余年も経つが、アサギマダラに出会うことはできなかった。そもそも、子どもの頃から見かけた記憶がないので、石黒には生息していても極々稀であったのではないかと思われる。
 それにしても、ふるさと石黒には、ヒヨドリバナヨツバヒヨドリアザミサラシナショウマなど、アサギマダラの好む花は普通に見られるので全然見かけないのは、意外なことにも思われる。
 その後、観察の範囲を柏崎市まで範囲を広げ、スナビキソウの開花のころに海岸を毎年歩いてみたがやはり出会うことはできなかった。
 今では、80才を過ぎ足腰も弱り、フィールドワークもままならず出会いは望み薄と諦めかけていた。とはいえ、これだけ長年、こだわってきたアサギマダラのページは、何としても作りたいという気持ちが強かった。
 そんな折、幸いにも、今日(2018.9.28)、コミセンで知人のY氏と会い蝶の話になり、写真を提供していただくことになり、ようやくアサギマダラのページを作ることができた。お陰様と感謝している。

 ところで、WEB上に、「2011年10月10日に和歌山県から放たれたマーキングしたアサギマダラが、83日後の12月31日に約2,500 km離れた香港で捕獲された」との情報がある。鳥類の渡り同様、実に、その能力に驚嘆してしまう。
 また、アサギマダラの幼虫は、カガイモ科の植物を好み体内に毒性のあるアルカロイドを取り込むことで敵から身を守っているということだ。のみならず、東南アジア方面に分布する「カバシタアゲハ」と呼ぶチョウは、アサギマダラに酷似し、擬態により、鳥から身を守っている事も知った。
 石黒でも、体内に毒素をもつジャコウアゲハの擬態により敵から身を守るアゲハモドキという蛾が普通に見られる。

(撮影 2014.7.13  柏崎市  写真提供 T.Yosida)


          莇の花で吸蜜するオス

撮影 2014.7.13  柏崎市  写真提供 T.Yosida

      フジバカマの花で吸蜜する様子

 撮影 2018.10.5  長岡市  写真提供 T.Yosida


解 説
タテハチョウ科
 北海道から九州までに見られるが、北海道や本州北部は少ない。 
 開帳10p内外の大型の蝶。翅の内側は白っぽく、黒い翅脈が走る。
 姿は美麗で国蝶選定でアオスジアゲハナミアゲハ等と共に候補に上げられたが結局、オオムラサキが選定された。フジバカマヒヨドリバナアザミスナビキソウなどの花に吸蜜に集まる。
 幼虫は、イケマコバノカモメヅルオオカモメヅルなどを食草としその葉裏に産卵する。
 また、春から夏にかけては本州等の標高1000〜2000mほどの涼しい高原地帯で繁殖し、秋、気温の低下と共に南方へ移動を開始し、遠くは、九州や沖縄、のみならず台湾にまで海を越えて飛んでいく個体も見られると言われている。
 とはいえ、日本本土の太平洋沿岸の暖地や中四国・九州では幼虫で越冬するので、春から初夏に本州で観察される個体の多くは本土で羽化した個体と推測されている。
 名前の由来は、前翅の半透明の青緑色の古称「浅葱→あさぎ」による。



     オスの見分け方

  写真原版提供 T.Yosid


      翅の裏表-表

         裏

標本写真−N.Chihara 柏崎