ノアザミ
暮らしとの関わり
 ノアザミは、石黒には普通にみられる。
 アザミの花といえば夏の強い陽差しの中に咲く花という印象が子どもの頃からあった。
 だから、5月に花をつけるアザミは、7月頃に咲くアザミと別種と思っていた。それらが同一のアザミであることを知ったのは、恥ずかしながら最近のことだ。春に咲くアザミは、草丈も50p止まりで周りの草に合わせてか小ぶりである。
 昔からアザミの花は話題に上ったが、葉にある鋭いトゲのため手折る者も少なかった。それでも夏の草刈り場で周りの草に負けまいと1mも茎をのばして咲いている花に出会うと美しいと思ったものだ。→写真
 筆者が小学生(昭和26年)頃に、ラジオ歌謡で「アザミの歌」が放送されて愛唱された。
高嶺の百合の それよりも  秘めたる夢を ひとすじに 
くれない燃ゆる その姿   あざみに深き わが想い
という歌詞であった。
 ノアザミの群生に出会ったことはない。せいぜい下の写真程度の寄り集まりである。

(写真上・右下2005.6.20板畑 右上2004.12.18下石黒)


            ノアザミの小群生

 写真2005.6.12板畑

写真2005.6.20下石黒

            葉脈状の毛

写真2009.5.18下石黒

  茎の液を吸うアブラムシと花の蜜を吸うスジグロチョウ

  ※総苞片から粘液がでるのは花冠に害虫を寄せない
  ためという説があるが、上の写真のアブラムシは総苞
  には確かに一匹も見られない。
写真2005.6.20下石黒

          ノアザミの根

写真2009.6.11下石黒
解 説
キク科
 北海道をのぞく日本各地に見られる多年草。道ばたなどに多い。
 茎の高さは50〜100p、草藪の中では1、5メートル達するものも見られる。
 根生葉は花期にはまだ枯れない。羽状に5〜6対に裂け縁にトゲが多い〔下写真〕。上面、下面ともに脈上に毛がある〔左下写真〕。茎中部の葉は互生して葉の基部は茎を抱く(下写真)
 花期は5〜9月。花は上向きに咲き直径4〜5p。花の元の部分には粘りがある。色は紅紫のものが多い。
 この花を刺激すると白い花粉を吹き出す。蝶に効率的に花粉を運んでもらうためであろう。自家受粉を避けるため、先に雄花の花粉が出終わる頃に雌花が開き他の花の花粉を受粉する。
 名前の由来は諸説あるが、花の美しさに惹かれて触ると棘が刺さり欺かれるという意味りの「アザムク」など何れも棘に関係があるようだ。



       つぼみ
写真2009.5.18 落合

    ノアザミの茎の中

写真2009.5.8上石黒

     おしべと花粉

雄しべは刺激を受けるとすぐに花粉を出す。

      冠毛と種子


 写真2005.7.4下石黒

  茎を抱く葉の縁のトゲ
写真2009.6.11下石黒