雑草-ハグサなどの思い出 4月の頃になると早くもハグサやッカシ〔スイバ〕やボコボコグサ〔スギナ〕等が、待っていたといわんばかりに芽をだします。 次第に雪解けが進むとボコボコグサなどに続いてハグサ〔オヒシバ・メシヒバ・スズメノカタビラ・スズメノテッポウ・ススメノヒエ〕などのイネ科の草が芽を出してきます。とくにハグサの代表であるスズメノカタビラは雪の降らない限り冬でも青々としている草です。ハグサの中には横に這うようにして伸びて、節々から根を出して広がっていく性質のものが多く、とても厄介な雑草です。 ハグサの一種オヒシバ ボコボコグサも地下茎で伸びて節から芽を出して増えるため、畑に入ったものを退治するには掘り起こして地下茎を取り除くことが必要になります。しかし、切断されて根が少しでも残っているとその根から芽が出てくるので完全に取り除くのはとても難しい草でした。ボコボコグサは、酸性の土壌には多く発生するといわれてきました。 その他、ネコノシャミセングサ〔ナズナ〕やタネツケバナなども寒さに強く早々と生える雑草でした。 除草剤などなかった昔はサツマイモ畑、サトイモ畑、豆畑、その他いろいろな作物の畑の草取りは大変な仕事でした。 少し広い畑になりますと、まだ、その畑の草取りが終わらないうちに最初にとった場所には小さな雑草が沢山芽をだしてくるということは珍しいことではありません。大家族であった昔は、子供たちも畑や畔草取りを手伝わされました。石黒で陸稗〔りくへえ〕と呼んだイヌビエなどは、ほっておくと、粟のように大きな果実が付きました。 また、真夏の渇水の時期には畑の雑草をあまりきれいに除くと、根を傷めるために、その時期の草取りには根を痛めないように注意してやりました。 その他、先ほどのハグサですが、夏の終わりごろになると種子が実りますので、この時期まで放っておくと、種子が散布されてしまうので、遅くてもそれまでには除草することが大切でした。 これもハグサの仲間ですが石黒では「地芝」という普通ののシバより少し大形のシバがありましたがこれも大変に取り除くのが大変な雑草です。 今では、除草剤が使われるようになり、その上、畑作も少なくなりましたので、それほど畑の除草には悩まされることもなくなったのですが、それでも、除草剤の使われない野菜畑の草取りには骨が折れます。 ところて゛こうして考えてみますと、昔は、除草には現在とは比べ物にならないほどの労力をかけたましたが、その反面、牛馬などの餌、燃料用の干し草、屋根材、刈草による堆肥づくり、蓑笠などの用材等、大変な恩恵もこうむってきたことも事実です。 〔文 田辺雄二 居谷在住〕 |