スイバ

暮らしとの関わり
 石黒では「スッカシ」と呼び、昔の子どもは、好んで食べた。個体によって味が微妙に異なっていたのは、雌雄や陽当たりや土質によるものであろうか。
 筆者の世代の子どもはスッカンボ〔イタドリの芽〕より好んで食べた。
 昭和20年代までの子どもにとってスイバの若芽は忘れがたい野草であろう。蓚酸(しゅうさん)を含むため沢山食べると有害であるといわれるが、当時は我先に採って抱きかかえて食べていた。中には、一晩塩漬けにして食べていた子もいたから、その辺のことを考えての食べ方であったかも知れない。→子どもの暮らし
 また、酸性土壌を好むため、畑にスイバが生えると酸性化しているという指標にもなった。
 雑草としては、ロゼット状で冬を越すため夏から秋に刈り取っても翌年に勢力を取り戻すやっかいな雑草でもあった。反面、周りの草が刈り取られるところにしか自生できないので草藪の中にはほとんど見られない。

写真2009.4.24下石黒 右上2005.4.21下石具


      道端に生えているスイバ

写真2005.6.8 大野

        子どもにとって食べごろのスイバ


              花期期〜果実期
  写真 2020.5.23記録的小雪 編集会 板畑-嶽


写真2005.6.8大野 親子地蔵付近


           葉のつきかた

写真2009.5.8 大野

解 説
タデ科
 北海道から九州各地の道ばたや畑や田のくろなどに、よく生える多年草雌雄異株
 根は黄色く、やや肥大し枝分かれしている。
 茎は、縦に筋があり、直立して50〜80pになる。色は緑色であるが紅紫色を帯びることが多い。〔下写真〕
 根もとの葉は、群がって出て柄が長く基部は矢じりの形である。茎の葉は互生し下部の葉には短い柄があり上部の葉は茎を抱き鞘は膜質である〔下写真〕。上部に行くほど葉は小さい。
 花は、茎の先が枝分かれし花軸のまわりに多数輪生する。雌花は紅紫色〔上右中写真〕、雄花は、黄色が〔上右下写真〕目立つ。
 ガク片は6個で花弁はない。雄花はおしべが6個あり花中から垂れ下がった黄色のヤク〔花粉を入れる袋〕がある。雌花には3個の花柱があり柱頭は細かく裂けて紅紫色である。
 花が終わると内側3個のガク片に成長し3稜形のそう果を包む。長さ4oほどでほぼ円形で背面にふくらみはない。
 名前の由来は酸い葉の意味。



        幼苗



     スイバの茎

写真2009.4.24 大野

      雌花の花

       果実へ

写真2007.5.15 下石黒

     雄花の様子

写真2012.5.25 寄合

    スイバの根
  写真2009.5.8 大野


暮らしとの関わり−補記 
   スッカシの思い出
 昭和20年代後半の子供の頃は、学校の帰りにみんなで道端の土手や平地の何処にでも身近に生えているスッカシ(スイバ)を採って食べながら帰りました。
 スッカンボもよく採って食べましたが、スッカシは酸味が強く味が濃いのでより好んで食べていました。たくさん採って家に持ち帰り、塩水に漬けておいたこともありましたが、おかずにした記憶はないので何の為に塩水に漬けたのか未だに分かりません。成長して種が出来ると色の違いがあるので二種類をしごいて握った手の中の色を当てて遊んだりしました。
 30年代には上石黒の「エビスヤ商店」でパンが売られるようになると、下校時にみんなでコッペパンを買って食べながら帰るようになるとスッカシなどは見向きもしなくなりました。ちなみに、当時のコッペパンは一個10円でした。
 
寄稿-大橋洋子2009.5.10