ナズナ〔オオナズナと区別せず掲載〕 | |
暮らしとの関わり 石黒ではナズナは、タネツケバナに比べ少ない植物である。もともと平場に多い植物なのであろう。 子どもの頃からナズナが、春の七草の一つであることや有名な別名が「ぺんぺん草」であることは知っていたが、実物はじっくりと観察したことはなかった。 そのくせ、貧弱で「びんぼうぐさ」とよぶにふさわしい哀れな草の一つという印象だけを持っていた。 しかし、10年ほど前に一句の短歌に出会ったことが、ナズナに対する今までの印象をすっかり変えてしまった。 その短歌は「栄光も喝采もなく人の逝くペンペン草は野辺に光れり」という小川千賀子という方の作品であった。私は短歌など一句も作ったことがない人間だが、新聞の短歌欄は欠かさず目を通す。だが、いまだ自分にこれ以上の感動を与えた歌にはたた出会わない。 上の写真は厳密に区別するならオオナズナであろう。 ナズナはアブラナ科であり、もともと菜っ葉、大根の仲間であり、おそらく1万年余前の縄文期から一年中、採取可能な山菜として親しまれた野草であったにちがいない。 ※高柳町の縄文遺跡の位置と名称 種子の形がが丸い、似た草にマメグンバイナズナがある。 写真 2005.5.2 寄合 花期-1 2011.4.22 市街地周辺 藤井城址 花期-2 写真 2015.4.26 原町 花拡大画像 写真2005.5.2寄合 真っすぐな主根と側根 写真2009.5.2下石黒 下部の葉と上部の葉 写真 2009.5.2 下石黒 |
解 説 アブラナ科 日本全土の道端などに生えるごく普通の越年草。 主根はやせて白色、地中に真っすぐに入り多数の側根を出す(左下写真)。 茎は直立して高さは20〜40pほど全体に荒い毛またはまばらな毛がある〔上写真〕。 根生葉は束生して地面に接して羽状に深裂して頭頂の羽片が大きく耳片のあるものもある。また長楕円形のものもあり長さ10pに及ぶこともある。 茎葉は無柄で基部が耳状になり茎を抱く〔上写真〕。上部のものは羽状に裂けずほぼ線状皮針形〔下写真〕。 花期は3〜6月。茎の先端に長い総状花序を出して、有柄の白い小形の花を多数つける。ガク片は長楕円形で長さ1oほど、花弁は倒卵形のヘラ形長さ2oほど。雄しべは4個だけが長い。雌しべは1個。 果実は倒三角形の短角果で無毛。頭部は少し凹み、長さ6〜7o、幅5〜6o〔下写真〕。種子は細かく20〜25を含み種子の長さは0.8oほどで頭卵形(下写真)。 葉の裂片に耳片のあるものをナズナ、裂片が長楕円形のものをオオナズナ〔上写真〕と区別することもある。 束生する根生葉 写真2009.4.8市街地周辺平井 茎葉の形 果実 写真2005.5.2寄合 葉のつきかた 写真2005.5.2寄合 種子 写真2009.5.31下石黒 草姿は環境によって様々 写 真 2021.5.8 新田畑 |