カワラヨモギ | |
暮らしとの関わり 海浜植物を撮り始めてから、カワラヨモギとの出会いを待っていたが今日、対面してみると筆者が持っていたイメージとは大分異なっていた。 いわば、カワラヨモギの根生葉は、冬や春の頃の白い細毛に覆われたいかにもヨモギらしい葉は、夏になると大いに異なってオカヒジキのような形となる。 また、花の咲く茎は、根生葉から少し離れたところで別種の草のように立ち上がり、こちらもスギナの葉のように細い葉だ。 最初に出会った時にはハイネズではないかと思った。しかし、近づいて観察すると草本らしい外観や感触であったので、帰宅後、WEV上で調べるとカワラヨモギと分かった。 牧野植物図鑑によると根に、ときたまハマウツボが寄生しているとのことがあるとのことであるので今後、留意して是非、出会いたいものだ。 その後、カワラヨモギをとの出会いはごく限られた場所で個体数も少ない。どうやら、カワラヨモギは柏崎の海岸にはごく少ない植物の一つになったようだ。 昨日(2012.12.17)、久しぶりの晴天であったので、海岸にカワラヨモギの観察にでかけた。さすが冬の日本海、防波堤の海側の斜面から上部の平坦部まで、まるで波が洗ったようなすさまじい景観を猛烈な海風がつくりあげている。(これを浜辺に住む年配の人は「風が舐める」と言う)その様子を目の前にして、自分は故郷石黒の真冬の猛吹雪の跡を連想した。 カワラヨモギはその防波堤の裏側斜面に生えていたが、ほとんど緑色を失った周囲の植物の中で唯一緑色を保っていた。この白い細かな毛に覆われた葉はロゼット状の根生葉である。このことから、図鑑には表記はないが、カワラヨモギは半常緑といえるのではなかろうか。 昨日〔2013.6.6〕に上越市の海岸を訪れたが、柏崎海岸に比べてカワラヨモギの自生は多く見られた。小群生の写真をよく見ると花穂が直立しているのが分かる。→参考写真 今日(2020.10.28)野鳥の研究者Hさんと久しぶりに中央海岸を訪れた。年々面積を広げる砂浜に様々な海浜植物が自生するようになって喜ばしいことだ。 (海岸で植物を観察中に50〜100羽のヒヨドリの群れが西方に飛んでいく様子を何度か見ることができた。西日本の暖地に移動するのであろう) カワラヨモギは筆者が毎年継続観察した2011〜2015年には鯖石川東側の防波堤上に見られるのみであった。その他、コマツヨイグサ、ハマニガナは多く見られ、コウボウムギ、ケカモノハシ、ハマボウフウが若干見られた。 それにしても海辺のカワラヨモギは根生葉と花茎葉が密生し花茎が倒れた状態のため最初に出会ったときには戸惑ったことを憶えている。 ちなみに河原に自生するカワラヨモギは花茎が1mにも達するものがあるという。 写真2012.8.23 鯨波海岸 真冬のカワラヨモギ 写真2014.1.29荒浜海岸 早春のカワラヨモギ 写真2013.3.27 松波海岸 幼苗 写真2013.6.6 柿崎海岸 根生葉と茎(花茎)−1 写真2012.8.23 鯨波海岸 根生葉と茎-2(花茎は倒れた状態が多い) 写真2020.10.28 中央海岸 花茎の葉の様子 写真2012.8.23 鯨波海岸 小群生 写真2013.6.6 柿崎海岸 種子散布期のカワラヨモギ 写真2012.12.18 鯨波海岸 そう果 採取と撮影201212.18 (※100umは0.1ミリ) |
解 説 キク科 北海道を除く日本全土の海岸や川原の砂地に生える多年草。 茎は直立して分枝し高さ30〜60cm。下部は木質化し若いうちは絹毛がある(上写真)。 海岸に自生するものは地際から白い絹毛の密生した茎葉が伸びて地面をはうような草姿を示す。 根茎は堅くて短い。根生葉は密に束となって出て白毛があり、花期には枯れる。 茎葉は互生し無毛で2回羽状に全裂する(左下写真)。裂片は細い管状で基部は茎を抱く(下写真)。 春の葉はヨモギに似ているが、秋花が咲く頃の葉は細い。 花期は8〜10月。枝の上部に円錐花序状に無数の小さな頭花を密につける。頭花は球形、または卵形で長さ1.5〜2mm。総苞は卵形〜楕円形で緑色で無毛、外片は小形。風媒花。 名前の由来は河原によく生えることによる。 葉 写真2020.10.28 中央海岸 冬季の根生葉 写真2012.12.17荒浜海岸 茎を抱く葉の基部(色彩加工) 葉のつき方 写真2012.8.23 鯨波海岸 茎断面 写真2013.6.6 柿崎海岸 穂状につく頭花つぼみ 写真2012.8.23 鯨波海岸 花後−幼果 写真2020.10.28 中央海岸 ロゼット状の冬の葉 写真2012.12.17荒浜海岸 カワラヨモギとハマウツボ〔前年〕 写真2013.3.27荒浜海岸 カワラヨモギとハマウツボ 写真2016.6.1 米山小学校 |