ハマボウフウ

暮らしとの関わり
 柏崎市街地の裏海岸には筆者の見る限り、極めて希にしか見られない。
 昨年〔2012〕、初めて鯖石河口に近い砂浜で出会ったときには、我ながら驚くほど感激した。花期は既に過ぎて果実期であったが、種子散布まで観察できた。その後、盗掘されることなく今〔2013.6〕も元気で自生していることを確認してほっとしている。
 以来、米山から椎谷海岸まで調べてみたいが、鯨波海岸で、たまに小ぶりの株を見かけるだけである。西山の大崎海岸では貧弱な一株を見かけたのみであった。
 それに比べ、隣の上越市の柿崎海岸では、大きな群生も見られる。→参考画像
 柏崎市での減少の主な原因は、山菜同様に乱獲されたこと、砂浜の減少による生育環境の悪化であろう。砂浜に恵まれた荒浜地内で古老に聞くと、十年ほど前までは浜から畑に移植して野菜として食べたと聞く。
 別名が「八百屋ボウフウ」であることからも、自生地では昔から食材として日常的に使われてきたことが分かる。
 しかし、柏崎海岸の現在のハマボウフウの植生状態は絶滅危惧のレベルにあり、上越市の海岸で行われているように採取を禁じるとともに、再生を目指して計画的な実践が、砂浜の飛砂防止のためにも行われることが望ましい。
 筆者は昨年(2012年)の秋、種子を採り冬の寒さにあてて今春、海から持ち運んだ砂に蒔いてみたが、どうも今のところうまくいかないようだ。再度、挑戦したみたい。
 近年、柏崎海岸で砂浜の増大とともにハマボウフウが復活しつつあることは実にうれしい事である (2016年)。 
 筆者が海浜植物の観察を始めたころは、鯨波海岸に十数株ある程度で裏浜や荒浜では絶無といってよいくらいであった。少なくとも荒浜海岸では鯖石川河口近くに1株あったのみであった。その後、実生が稀にみられるようになって4年後の今年ではそれなりの大きさの株があちこちで見られるようになった。その後、柏崎中央海岸でも砂浜の拡大とともにぽつぽつと見られるようになった。しかし、中央海岸の駐車場近くの砂浜にハマボウフウの5〜6株ほどの小群生が見られ楽しみにしていたところ心ない人により3株が根こそぎ持ち去られてしまいひどく腹立ちしい思いをした。
 うれしいことに、現在(2020年)はその近く一帯で小群生が数カ所で再生されつつある。
 また、ここあたり一帯(松波・荒浜海岸)ではほとんど見られなくなったコマツヨイグサが中央海岸では普通に見られるようになったことにも驚いている。いずれも喜ばしいことであり大切にして見守っていきたいものである。
 今日(2021.6.16)、久方ぶりに荒浜海岸を歩いてみたが柏崎刈羽原発寄りの土手にハマボウフウのかなりの群生が見られ驚いた。筆者が海浜植物を観察を始めた2012年ころには、鯖石川河口寄りの土手にたった一株しか見られなかったハマボウフウがこのように群生していようとは夢にも想わなかったで感激した。
            柏崎市海岸のハマボウフウの群生

  撮影 2021.6.12荒浜海岸
 6月4日の柏崎日報に椎谷海岸に椎谷の佐藤さんが10年がかりで実生から育てたハマボウフウを椎谷海岸に計200株ほど3箇所にわたって植えられたとの記事が掲載されていた。この場所も、そうした人の手によって見事な群生を形成したのではないかと想った。

写真2013.6.5上越市海岸 


    蘇えりつつある柏崎海岸のハマボウフウ

写真2015.6.20柏崎海岸

               幼苗-2

                葉の形

      
葉の形と表面の光沢(クチクラ層)と縁の鋸歯

               つぼみの頃


                開花期

             花から果実へ

写真2013.6.5上越市海岸
 
               果実期−1

               果実期−2

               果実散布期

                 果実

写真2012.7.5裏海岸

        花から果実へ(1画面で見られる)


写真2013.7.21柏崎市海岸

           秋のハマボウフウ

 
写真2013.10.6鯨波海岸



解 説
せリ科
 日本全国ま海岸の砂地に生える多年草
 根はゴボウ状に深く砂中に真っ直ぐに伸び色は黄色を帯びる(下写真)
 地上茎はわずか5〜10pほど。
 葉はクチクラ層が発達して厚く光沢があり2回3出羽状複葉で小葉の縁には不揃いの鋸歯がある。葉柄は赤みを帯びる〔下写真
 花期は6〜7月。茎の先に密な複散形花序を出して小花を密生する。ガク片は卵形で花弁は白色。花茎や花柄などには白毛が密生する(下写真)
 果実は丸く密集して細毛のある果皮はコルク質でがあり熟すると砂上に落下し散乱する(左下写真)。分果の長さは10〜18mm、種子の長さは5〜7mmほど。
 若葉は刺身のつまなどとして食べた。
 名前の由来は薬用に使う防風と誤ってつけられたとのこと。



      幼苗-1
写真2012.9.30裏海岸

   赤みを帯びる葉柄


写真2013.6.5上越市海岸

       開花前
写真2013.6.5上越市海岸

    花と花柄の白毛



写真2013.6.5上越市海岸

    紫色を帯びた花
写真2013.6.5上越市海岸

        果実

写真2013.7.8上越市海岸

    直下する長い根
  (砂が崩れて露出したもの)

写真2013.6.5上越市海岸

      分果と種子

写真2012.8.2裏海岸