シメ
 
 
 
 
暮らしとの関わり
 我が家の庭にナンテンの古株がある。このナンテンは石黒の生家の庭にあったものを40年ほど前に移植したものだが、筆者が子どもの頃から、毎年、まばらな結実で花序部が直立した状態で冬を迎えた。そんなわけで、たわわに実をつけた他家のナンテンを目にするたびに羨ましく思った。
 ところが、今年は果実の重さで幹部が倒れかかり、ショロ縄で杭に結わえ付けなければならないほど実がついた。
 ここ数日、その実をねらって数羽のヒヨドリがやってくる。だが、今日は白っぽい大きなクチバシのずんぐりした体形の鳥がやって来た。野鳥図鑑で調べるとシメという鳥であった。
 その精悍な顔つきはどこかモズに連想させるところがある。
 ちなみに、シメの学名Coccothrauste coccothraustesは「穀物を粉砕するもの」という意味のギリシア語に由来するものという。先刻、WEB上で、あの大きなクチバシが固い木の実の殻を噛み砕く時には最大30sの力を発揮できるという情報に出会い即座に納得した。  

写真2017.1.25松美町 ♂


      つがいであろう 手前がオス、向かいがメス

写真2014.1.17 長谷川

          大きなクチバシと短い尾 ♂

写真2017.1.25松美町
          真正面から見た姿
写真 2020.12.30 松美町

〇参考資料
  数10年間、仕事で柏嵜を離れていた。その間は、この鳥を見ていなかったし、柏崎に戻ってからも数年間見ていなかった。仲間は見ていると教えてくれたが、私自身は長い間この鳥に縁がなかった。しかし、この冬は何度か観察する機会があった。さらに今回は、市街地の海岸にある潮風公園で10羽くらいの群れが地上で餌を採っているところを観察できた。1羽単独で入るシメは多く見ていたが、まとまって10羽は初めてのことである。さらに写真まで撮れた。まさに目的の鳥を見るには回数をこなさなくてはならない、を地で行った。出かけなければ出会いはない、である。 情報提供 長谷川(野鳥研究者)

解 説
アトリ科
 日本では北海道や本州の中部以北で繁殖するほか、冬鳥として本州以南に渡来する(このことから漂鳥として区分される)。また、カムチャツカ半島サハリンなど外国からやってくるものもある。
 新潟日報事業社の「新潟県鳥獣図鑑」によると1960年に柏崎市剣野の杉の木に巣をつくったが、卵は産まなかったという記述がみられる。
 平地から山地の落葉広葉樹林や雑木林に生息する。また、市街地の公園、人家の庭でも見ることができる。
 全長約18cmで、スズメより大きく、ヒバリほどの大きさである。
 雄の成鳥は、頭の上部と耳羽が茶褐色、頸の後ろは灰色。嘴は鉛色、円錐で太く大きい。冬羽になると肌色になる(写真)風切羽は青黒色、背中は暗褐色、尾も暗褐色で、外側尾羽に白斑がある。目からくちばしの周りやのどにかけて黒色で、胸以下の体下面は淡い茶褐色。
 雌は雄より全体的に色が淡く、風切羽の一部が灰色。
 ムクノキ、エノキカエデなどの種子を主食とする。
 名前の由来は「シー」と聞こえる鳴き声と鳥を意味する接尾語である「メ」が組み合わされたもの。
 鳴きは「チチッ」「ツイリリーッツー」と聞こえる。



   庭にやってきたシメ
写真 2020.12.30 松美町

大きなクチバシと短い尾-2 ♂
写真2014.1.17 長谷川

        脚部
写真2014.1.17 長谷川