エンレイソウ
暮らしとの関わり
 エンレイソウは、春先、石黒ではごく普通に見られる植物の一つである。 
 よく見ると、3枚の葉と3枚のガクがあり見事に整った草姿をしている。(3数性のユリ科の典型的な植物で、葉は3枚が輪生、外花被片(萼)も3枚。おしべは6。めしべの先は3裂していて、子房も3室である)
 また、果実は食べられ根は薬草としての効能があるという。にもかかわらず、余り親しみを感じない野草であるよう思う。
 様々な果実を試しに食べた終戦前後の子どもも(筆者の世代)エンレイソウの果実には手を出さなかった。その理由は、子どもの我々には、どことなく有毒植物らしい感じがしたためであろう。(※牧野植物図鑑では有毒植物の一つとしている−果実以外は有毒なのかも知れない)
 石黒では、エンレイソウは、その美しい草姿にもかかわらず、子どものみならず、大人にも、昔から、なぜか敬遠されていた野草の一つであるように思われる。
 シロバナエンレイソウは石黒のみならず市街地周辺でも出会ったことはない。
 ところで今日(2015.4.23)比角コミセンの観察会で長岡の丘陵公園の植物園に行き初めて出会った。
→参考写真 筆者には、白花のエンレイソウから受ける印象はエンレイソウとは大いに異なるように思われたが皆さんはいかがでしょうか。

 ちなみに、新潟植物園の丸山真也氏によるとエンレイソウが種子から開花するまでには十数年を要し、発芽1年目は根だけで、その後4〜5年は葉2枚が続き、後に3枚となるという。(→2006.3.4版 新潟日報「にいがた花物語63)
 できれば、今秋に種子を鉢に蒔いて観察してみたい。
 しかし、葉が3枚になるまで5年とすると87才、果たしてボケずに生きていられるか甚だ心もとない。とはいえ、この手のマイナス思考で行けば「明日なき人生」を生きなければならない。(2019.8.22)
※今まで20年余りで撮影したファイルを見てみると、実生らしいものもみられるが写真からは判断できない。→写真

(写真上2005.5.6板畑 右上2005.4.26下石黒 右下2005.4.24)


    エンレイソウの幼苗発芽より数年後)
 撮影 2009.4.30 小岩峠

        エンレイソウの小群生

 撮影 2009.4.30 小岩峠

         花期を過ぎたエンレイソウ

 撮影 2006.6.9 板畑

          他の野草とともに
 カタクリキクザキイチゲホウチャクソウエゾエンゴサク

撮影2010.5.5下石黒

    ニリンソウの群生中でクサソテツとともに

写真2010.5.5下石黒・城山麓

             美しい形の葉

写真2009.5.6上石黒

     群生(キスミレサラシナショウマとともに)

写真2009.5.19落合

              果実期へ

        

解 説
ユリ科
 山地のやや湿ったところに多く見られる多年草
 地下茎は太くて短く下に伸びている。
(下写真)
 茎は1〜3本直立して分枝せず、基部は褐色の膜質の鱗片葉で囲まれていて
〔下写真〕高さ20〜40p。雪消えと共に葉を開く。
 葉は広卵円形で長さ10〜15p。先端はとがり3〜5本の脈がある
〔左下写真〕
 花期は4〜5月。花は3pほど伸ばした柄の先に少し傾き加減につく
〔上写真〕。 
 花披片はガク片に相当する3片だけで花弁はない。雄しべは6個あり葯は細長く内側を向く。
 子房は幅広く球形。3室で花柱は3個あり短い。
 果実〔液果〕は球形で黒く熟す。中に多数ある半月形の種子の末端にアリの好む成分が付着していてアリの散布に頼るという。花が咲くまで生長に15年程度かかるといわれる。
 名前の由来は薬草の効があり中国で「延齢草根」と呼ばれたことによるという説がある。




  エンレイソウの根茎

撮影2009.5.19寄合  政栄

      発芽のころ-2

      発芽のころ-2

      発芽のころ-3

    発芽のころ-4
     発芽のころ-5  
撮影2005下石黒
    葉がひらく

撮影20005.5.1下石黒
          花-1

撮影2005.4.24下石黒
    花-6個の雄しべ

撮影2006.5.13上石黒
        果実-1

        果実-2

撮影2005.6.18下石黒

撮影2005.6.30下石黒

  種子とアリの好む部分