ウラナミシジミ
暮らしとの関わり
 石黒ではウラナミシジミに似た小型のチョウは何種か見られたが小さいため、近づかないと識別できず見逃してきた。
 上の写真も、ウラナミシジミと分かって撮ったわけではなく帰宅して写真を整理して初めての出会いであることを知った。 
 こんな時は、決まって「撮影時にそれが分かれば、もっと時間をかけて丁寧に撮れたものを」と悔やまれる。
 ウラナミシジミは、オセアニア、東南アジア、北アフリカにかけての熱帯・亜熱帯地方に広く分布しており、日本列島は北限とのこと。 また、国内でも元の分布域は西日本なのであるが現在では東北、のみならず北海道でも見ることができるとのことだ。柏崎昆虫愛好会編「柏崎・刈羽のチョウ」によれば柏崎での出現期は9月の初めから10月下旬である。
 栽培種のマメ科植物に害虫として有名で、とくに若齢幼虫は花蕾や花芯を食害し減収につながるという。モンシロチョウがキャベツなどの害虫であることは子どもの頃から知っていたが、ダイズやアズキにつく害虫としてのウラナミシジミの名は聞いたことがなかった。
 おそらく、大豆を多く栽培した昭和30年代の頃の石黒では、ウラナミシジミによる被害はなかったのであろう。というよりその頃は温暖化の影響もなく、個体数は迷蝶程度であったのではなかろうか。
 であれば、子どもの頃は大豆畑などの草取りをさせられたが大豆や小豆に寄って来るウラナミシジミを見た記憶がないのは当然であろう。

写真2013.10.8 茨目


       ハナバチと吸蜜するウラナミシジミ

写真2014.10.30平井
         ヨモギの葉の上で休むオス

 写真 2017.10.26 下石黒


解 説
シジミチョウ科
 北海道以南から九州に分布。
 翅の表面は雄では紫藍色、雌では黒褐色、前翅の中央は広く藍色。裏面には、茶色と白色の細かい波模様がある。また、後翅の端には黒い斑点が2つあり、2つの斑点の間には触覚に似た細い尾状突起がある(上写真)
 開帳2.7〜3.7pでヤマトシジミより一回り大型。
 発生は4月上旬から11月上旬くらい。日本で越冬できるのは房総半島南端から以南の太平洋側の暖地に限られ、他の地方では冬は死滅する。越冬地での発生は6〜7回に及ぶ。
 幼虫の食草はアズキ、エンドウなどの野菜やクズクララヤブツルアズキなど。成虫はこれら食草のつぼみなどに卵を産み付ける。マメ類の害虫として著名。
 名前の由来は翅裏の波形の紋様による。



     交接の様子

写真2014.10.30平井

     吸蜜するオス
写真 2017.10.26 下石黒

      老体のオス
写真 2018.10.17 上石黒