クララ
暮らしとの関わり
 かつて石黒では見かけない植物であったが、最近ではよく見かけるようになった。イヌエンジュイタチハギに似ているので見過ごしてきたのかも知れない。
 いかにも外来種という印象が名前にとどまらず姿形にも感じられる野草であるが、れっきとした在来種である。西行法師の歌にも見られるという。(※「荒れにける 沢田の畦に 苦参〔くらら〕生ひて 秋待つべくも なきわたり哉」)
 地方によっては「絶滅危惧U類」に位置づけられている。
 またクララのつぼみや花は、ルリシジミ参照・石黒の動植物)という蝶の食草であり卵がクララの花穂に産み付けられるという。
 毒草に分類されるが、葉や茎を煮つめた汁は駆虫剤として使われ根は生薬となるという。

(写真2005.7.18寄合)


              全体の草姿

撮影2006.6.19寄合

         初夏のクララ

撮影2006.6.8落合

           葉の形と表と裏の短毛
   
撮影2010.6.30落合

         鞘と種子・ヘソの位置

撮影2010.8.22落合

解 説
マメ科
 北海道から九州までの日当たりのよい山野、河原などに見られる多年草
 茎は円柱形で直立し高さ80〜150p。短毛がある(下写真)。幼茎は暗色を帯びる。
 葉は柄があり互生羽状複葉で15〜41の奇数個の小葉からなる。小葉の長さは2〜4p、幅7〜15o。両面には短毛がある(左下写真)
 花期は6〜7月。茎の頂や枝先に多数の蝶形花を穂状につける〔左写真〕。花穂の長さは20〜25p、小花は淡黄色で長さ15〜18o。
 ガクは筒状で先端は浅く5裂し、まばらに伏した毛がある〔下写真〕旗弁の上部は上に反り返り、翼弁竜骨弁はそれより短い。
 果実(豆果)は長さ7〜8pで中に4〜5個の種子を入れて鞘のくびれが著しく数珠状となる(上写真)。鞘には短毛があり4〜5個の種子を入れる。熟すと側方の表面でギザギザに裂ける(下写真)
 種子は楕円形で6〜7o、短軸4o、へそは上端にある(左下写真)
 名前の由来は根を噛むと目が眩むほど苦いため眩草(くらむ草)と呼ばれたことによる。毒草、特に根が有毒とのことなので苦味を試すことは要注意。



   ガク筒の細かな伏毛

撮影2006.6.19寄合

      つぼみと花

 最下は花弁の一部を取り除いたもの

      茎切断面

撮影2006.6.19寄合

 熟すとギザギザに裂ける鞘

撮影2010.8.22落合