オオムラサキ(画像は標本)
                   (※写真は標本)
       翅 裏
写真-標本
暮らしとの関わり
 筆者は、子どもの頃から姿を見たことがないばかりか「オオムラサキ」という名前も聞いたことはなかった。(石黒には、エノキは極々まれなのでオオムラサキは生息していないと想われる)。
 本サイトを作り始めて、オオムラサキという大型の美しいチョウの存在を知り、かつ、日本の国蝶であることも知った。
 幸い、柏崎には食樹のエノキも多いので出会いの機会に恵まれるのではないか、とひそかに期待したが、15年過ぎた今も出会うことはできないでいる。
 オオムラサキの成虫は、エノキの樹の上を高く飛翔するので確認は難しく、樹液を吸いに集まったときがチャンスであるといわれている。
 しかし、すでに80才を過ぎて故障だらけの体では、今後の出会いの機会は期待できないと、ほぼ諦めていたところ、サークル活動の仲間で、青年のころにチョウの採集に熱中した方がおられ、標本を見せてくださった。
 さらに、標本の撮影も快く承知してくださったので、半世紀ぶりにオオムラサキを標本箱から自然の中に戻して撮影をした。私には、今にも羽ばたいて飛翔をはじめるかのように見えた。標本をご提供くださったTさんの御蔭で、オオムラサキの頁が作れたことは有り難くうれしいことだ。
 ところで、オオムラサキは、日本が世界に誇る美しいチョウとして、1957年日本昆虫学会40周年記念大会で国蝶に指定されたと聞く。
 しかし、いくら美しいとはいえ、国民が滅多に目にすることのできないチョウが、なぜ国蝶に選ばれたのか、いささか私には疑問に思われる。とはいえ、あるいは当時は誰の目にも触れるほど沢山の個体が全国に生息していたのかもしれない・・・・。

( 標本提供 N.Chihara 採集地−柏崎)

            オオムラサキ

 ※標本本提供 N.Chihara


解 説
タテハチョウ科
 日本では北海道から九州まで各地に分布し、適度に管理された雑木林を好むといわれる。
 成虫は前翅長は50〜55pほどで、メスはオスより一回り大きく、翅に青紫の光沢はなく褐色をしている。また、生息地域により大きさが、斑紋の色などが若干異なる。
 成虫は年に1回だけ(6-8月)発生する。
 食餌は、クヌギコナラクワヤナギなどの樹液。しかし、極々稀にクリクサギなどの花で吸密する。時には獣糞などの汚物に来ることもある。
 また、飛翔力優れ力強く羽ばたく。又は、滑空する。
雄は樹木の周囲に縄張りを作る。幼虫の食樹はエノキ、エゾエノキ。冬は地面に下りて植樹の根元などに溜まった落ち葉などの中で越冬する。春に休眠から覚めると再びエノキの木に上って葉を食して蛹となり羽化する。
 国蝶としては、ギフチョウアゲハチョウなども候補に上がったが、オオムラサキが切手の図案に採用されたことが契機となり決定されたと伝えられる。



      オオムラサキ

※標本本提供 N.Chihara