ギフチョウ | |
暮らしとの関わり 石黒では、春にカタクリやスミレやショウジョウバカマの花にとまって蜜を吸うギフチョウを見たことのある人は多いであろう。 いつでもどこでも見られるチョウではないが、ふるさと石黒では未だ残雪のある頃から現れるチョウである。山菜採りに行って日の当たる場所で一休みしている時に見かけたという人も多い。一見、小型のキアゲハのようにも見えるがすばしこい飛び方をする。 石黒には食草のカンアオイが多いので、もっと多くの個体が見られてよいと思うが稀にしか見かけない。とはいえ、関東地方では極々稀にしか見られないチョウで天然記念物に指定されている所もあるそうだから全国的にも石黒はギフチョウの多産地といってよい。 ギフチョウはカンアオイの葉に一回10粒ほどずつ合計100粒ほど産卵するといわれているが、おそらく孵化しさらに羽化するのもの1%くらいなものではなかろうか。 陽光のさしこむ明るい雑木林が食草のカンアオイの成長もよくギフチョウの発生が多いといわれる。 だが、昭和の半ばごろから全国的に雑木が燃料として使われなくなり、うす暗い雑木林が多くカンアオイの生育環境も年々悪化している事は事実である。 (写真2004.5.4大野) 枯草にとまって翅を休めるギフチョウ ギフチョウはね裏(♂) 撮影2009.4.10下石黒 |
解 説 アゲハチョウ科 ギフチョウは蝶の中でも古い系統に属し「生きた化石」と呼ばれている。 両羽の長さ5〜5.5p。本州特産、年1回、暖地は3月、寒冷地は4月に現れる。 幼虫はカンアオイ類の葉を餌とする。春、カタクリやショウジョウバカマが咲く頃に現れる。 待っていた春とともに現れるため「春の女神」の愛称がある。オスには長い体毛がある(下写真)。 卵はカンアオイ類の葉裏に6〜12個を産み付ける。幼虫は約5週間でサナギとなり以後10ヶ月の長い休眠に入る。 名前の由来は、1883年(明治16年)に岐阜県益田郡金山町で、名和昆虫博物館館長である名和靖氏によって採取されたことから、ギフチョウという和名がつけらた。 ギフチョウの体毛(♂) 撮影2009.4.10下石黒 |