ゴヨウマツ
暮らしとの関わり
 石黒には露地に植栽されたゴヨウマツは見かけない。だいたい、石黒ではアカマツクロマツも庭木として植えられたものはほとんど皆無といってよい。その原因は、豪雪地帯であるために庭木として育てることは至難であるとことによる。しかし、山にはアカマツが多くはないが自生していた。
 筆者が子どもの頃(1945)には村を取り巻く山々の尾根には見事なアカマツの大木が並び立ち景観を引き立てていた。(年のくれ(1月末)には松飾の松を採りに近くの山へ友達と出かけた)
 しかし、その後、用材として伐採されたり、太平洋戦争後に松くい虫の被害が周期的に発生蔓延して甚大な被害をもたらし、減少の一途をたどった。
 とくに、マツ枯れは太平洋戦争が終わった昭和20(1945)年ころから紀伊半島や四国から広がり、3年後には41都府県で128万立方メートルも枯れた伝えられている。筆者は小学3.4年生の頃、この時の記録映画をナトコ映画会で観たことを覚えている。
 近年では1989年ころに大規模な発生がありこの時に石黒のアカマツの8割は枯れ死した。俗称松之山脇街道の道沿いのアカマツの大木のほとんどすべて枯れ木と化した。石黒地区に現在残っている大木は50本に満たないのではなかろうか。

写真2016.8.10 松美町


             ゴヨウマツの球果
写真2016.8.10 松美町


解 説
マツ科
 日本原産。基の変種はヒメコマツ。原産地は本州、四国、九州の海抜1300-1800 mの尾根や露岩地に生える。
 原産地では高さ15〜30mに達する。原産地以外で植栽されたものは6〜8mにとどまる。
 若木の種皮は、なめらかで灰褐色であるが老木は、くすんだ灰色でうろこ状に大きく裂ける。
 葉は青味を帯び緑色で一か所から5枚出て長ささ5〜6p。葉の表面には短い気孔列があり白い筋のように見える。(上写真)
雌雄同株で一つの個体に雄蕊のみ持つ雄花と雌蕊のみ持つ雌花の2種類の花をつける。雄花はピンク色で風媒花
 球果は、はじめ緑色だが後に褐色。翌年の秋に熟し長さ5〜8pで卵型。松かさはヤニがついている。(手につくとなかなか取れない)
 種子のは短く風散布能力はない。
 材は建材や器具材に使われる。


   種子を見せる松かさ
写真2016.8.10 松美町