ヤブタビラコ
 暮らしとのかかわり
 石黒で、ヤブタビラコに出会ったことは未だない。正確には相手〔汝〕と意識して対峙したことはないというべきであろうか。
 オニタビラコは、子供時代に飼いウサギの餌に採ったことから親しみのある植物であるが、ヤブタビラコのように貧弱な草はウサギの餌としては取るに足らない存在であったのであろう。
 このヤブタビラコと初めて出会ったのは、今年の5月、市内赤坂山公園への入口付近の林に沿った小道であった。何か、弱々しい印象を受けたが、それは日陰の瓦礫地のせいだろうと思った。根生葉の形からナズナタネツケバナのようにも見えた。しかし、細く長い花柄の先についている花はハナニガナジシバリに似ている。
 思わず、そこに屈みこんで観察と撮影に熱中していると、通りすがりの数人の人に「何か珍しいものでも・・・・・・?」と声をかけられた。結局、その場では名前は分からず、花の様子からキク科であろう程度の見当しかつかなかった。
 その日は、たまたま他の植物の観察撮影のテーマを持って訪れたので、帰宅後、このヤブタビラコの写真データは膨大な未処理ファイル倉庫に紛れ込み今まで放置されてきたのであった。
 一昨日、不同定植物フォルダを開いて他の植物を調べていてたまたま、この植物のファイルに出会い、早速、WEB上で調べると「ヤブタビラコ」という名前であることが分かった。コオニタビラコも候補にあげたが花びらの数が多いこと、総苞の形が丸いことからヤブタビラコと同定した。ちなみに、春の七草にホトケノザとされているのはコオニタビラコのようだ。
 今後、果実期の様子を観察したい。
 
写真2014.5.11 緑町


          木漏れ日の中の様子
写真2014.5.11 緑町

                 根生葉

写真2016.5.2緑町


解 説
キク科
 北海道から九州の各地の林の縁や道端などに多い越年草。やや、湿り気の多い日陰によく見られる。
 茎は、高さ20〜30pほどで軟弱な感じで、斜上し倒れたような形になる。
 根生葉束生し不規則に深裂して頂片は大きく先は鈍く尖る。長さは、5〜15p、幅1.5〜3p。
 花期は 5〜7月。数本の花柄を伸ばし少数の小さな茎葉互生する。茎の上部で分枝し先端に黄色の頭花を数個つける。頭花は舌状花のみからなり筒状花はない。舌状花は径8mmほどで数は20個ほど〔上写真〕
 花後は緑色の総苞が閉鎖してほとんど球形となり下を向く〔上写真〕。後に再び総苞が開きそう果があらわれる。そう果には冠毛はない。
 名前の藪に生えるタビラコ〔コオニタビラコ〕の意味であろう。



        花後
写真2014.5.11 緑町