ジシバリ
暮らしとの関わり
 ジシバリは、昔から畑の害草として嫌われた。優しげで軟弱に見えるが、地表に茎を伸ばし地についたところから根を出し張り付いたように繁茂するので地上部のみ取り去っても直ぐにまた復活する厄介な雑草であった。
 筆者の経験では網状に伸びた茎〔匍匐枝〕が軟弱で切れやすいために一層、除草には手間取る。子どもの頃にお盆前にさせられた草取りでは、もっとも苦手な雑草であった。鎌で地表を削り取るようにして誤魔化して祖母に毎年のように叱られたことを蝉しぐれとともに75年を経た今も思いだす。
 ジシバリは、石黒では現在でも見られるが昔に比べて激減した。畑地が減り、除草剤が使われるようになったことがその原因であろう。
 同属のオオジシバリに比べて乾燥に強いように見える。また、ジシバリはオオジシバリのように葉が立ち上がらず全体が一回り小形である。
 しかし。実際には、葉の形などオオジシバリに近い楕円形のものもあって同定の難しいこともある。

(写真上・右上2005.6.8上石黒 右下2005.7.20落合)

            ジシバリの花

写真2007.5.23上石黒

          匍匐枝で増えていく様子
写真2007.5.23上石黒

               種子散布期

写真2007.6.5下石黒

解 説
キク科
 日本全土の日当たりのよい所に生える多年草
 崩壊地などの表土にも好んで生える。ロゼット状で越冬。
 春に葉のつけ根から匍匐枝を出して株をつくり更に匍匐枝を伸ばして繁殖する。
 葉は長い柄をもち薄く卵円形で長さ1〜3p、幅1〜2.5pで白色を帯びる。全縁で羽状に切れ込むことはない。
 花期は4〜6月。10pほどの短い花茎を立ち上げ、まれに1〜2回分枝し径2p程の花(頭花上写真)を数個つける。舌状花は20〜25個。
 そう果には純白色の冠毛がつき風に乗って散布される(上写真)
 名前の由来は一面に広がって地面を覆うことから「地縛り」の意味。別名イワニガナ。



    つぼみと花

写真2007.5.23上石黒