ハナニガナ | |
暮らしとの関わり 石黒ではニガナも含めて「チチグサ」と呼んだ。茎を折ると白い乳のような汁が出たからであろう。 家庭で飼育している食肉用ウサギの世話は、どこの家でも子供の仕事であった。どんなに遅くまで遊んでいてもその日のウサギのエサは採って帰らなければならなかった。 チチグサはウサギが好んで食べ、エサとして最適であった。夕方、夢中で遊んでいる時でもチチグサを見かけると皆で奪い合うように採ったものだ。「ウマゴヤシ」と呼んだアキノノゲシやホソバノゲシなども同様であった。 夕方帰宅途中の当時の子どもは大抵、ウサギの草を抱えていたものだった。茎から出る乳液が手につくと黒く跡が残ったことを記憶する。とにかく、子どもの頃にお世話になった植物である。石黒では、今ではハナニガナに比べてニガナは非常に少ない。70年前の当時ははどうであったのであろう。やはり、今よりは少なかったのではなかろうか。 先日(20100.5.20)市街地周辺で子どもの遊び場として作られたグラウンドでハナニガナの大群生に出会った。→参考画像 写真 上2006.6.2下石黒 右2007.6.2寄合 ハナニガナ全体の姿 写真 上2009.6.3寄合 ハナニガナの群生 写真 上2005.6.18落合 ハナニガナの草姿 写真 上2006.6.14寄合 |
解 説 キク科 日本全国の山地から平地の日当たりのよい所に普通に見られる多年草。 分類上はニガナの亜種シロバナニガナの品種に属する。 根茎は短く〔左下写真〕まれに走出枝をつける。 茎は直立し高さは30から70p。高地に行くほど背丈は低くなる。 根生葉は基部は細くなり長い柄があり、長さ3〜10p。幅5〜30o。縁は荒い鋸歯をもち、しばしば羽状に切れ込む〔下写真〕。茎葉は茎を抱くようにつく〔下写真〕。 花期は5〜7月。頭花は径1.5pほど。舌状花が7〜11個ほどで〔上写真〕。〔ニガナは5〜7個ほど-下写真〕。花冠は黄色〔同種シロバナニガナは白色〕。 染色体数は2n=21。単為生殖をする。 そう果につく冠毛は長さ4oほどで淡褐色、50本内外。 茎や葉を折ると白い液体が出ることから「チチクサ」と呼ぶ地方が多い。 名前の由来はその白い汁が苦いことによる。 茎葉のつきかた 写真 上2009.6.3寄合 白い液体 写真 上2009.6.3寄合 根生葉 写真 上2006.6.14寄合 ※比較−ニガナの花 写真 上2006.6.14寄合 |