オオイヌノフグリ | ||
暮らしとの関わり オオイヌノフグリは最も早く春の到来を告げる花と言われるが、雪深い石黒で春を待つ子供時代の舞台には登場しなかった。 もともと、オオイヌノフグリは明治中期の帰化植物であり、昭和20年代には石黒には全く自生していなかったのであろう。 現在でも石黒では珍しい野草である。隣村の鵜川などでも同様であることから多雪であること等などの気候との関連があるのであろうか。それとも、種子散布がアリに頼るなどで非常に拡散が緩慢なためであろうか。 名前は在来種に小形のイヌノフグリ(参考画像)があったためにつけられたという。イヌノフグリという名前については、とかく話題になるが筆者などは果実を見る度に、なるほどと改めて感心してしまう。 花の色は絶妙である。正にこの色は早春のオオイヌノフグリに始まり夏のルリボシヤンマ、エゾイトトンボ、そしてクガイソウの花、そして秋の熟したアケビの実にのみ見られるくらい希なるものではなかろうか。 ちなみに学名Veronicaは、ゴルゴタの刑場に向かうキリストの汗を拭き取った聖女の名前だという。 田塚のセブンイレブンに古文書のコピーに行った帰りに田んぼ道に出て散歩がてらに2qほど歩いた。農道沿いにはヒメオドリコソウやツクシなどと共にオオイヌノフグリの花が見られるようになった。所々に群生も見られた。 市街地周辺の農道で真っ先に春到来を知らせる花は、このオオイヌノフグリだ。→写真 ※群生の向こうに見える黒姫山のふもとの故郷石黒は未だ2m近い残雪という。(2018.3.17) 今日(2018.3.25)、再び、散歩道の道端のオオイヌノフグリの群生地を訪れた。到着したのは午後の3時少し過ぎであったが、まだ陽が当たっていたが花はみな閉じている。以前にものこのような場面に出会ったが、未だツボミの状態と思っていたが、これだけの群生のすべてがツボミ状態なのも納得がいかない。 帰宅後、何種かの植物図鑑を調べるに開花についてそれらしい記載も見当たらない。それでWEB上で調べると、「咲いている時間は午前10時から午後2時くらいまでの4時間ほど」とある。つまり、お昼前後の数時間しか開いていないとのことある。 のみならず、1日花で天気が悪いと、花は充分には開かず、そのままの状態で次の日に落ちてしまうという。それでも、自家受粉で十分結実するという。さすがに名前に恥じない旺盛な繁殖力である。 今日(2019.2.27)、昼食後に近くの農道を散歩していると開花したオオイヌノフグリに出会った。1週間ほど前に太平洋側に住む友人からオオイヌノフグリの花便りをもらい、羨ましく思ったばかりであったので思いがけないうれしい出会いであった。それだけ今年は暖冬なのであろう。 今日(2020.2.13)の午後、近くの農道を散歩しているとたくさんのオオイヌノフグリが咲いていた。数匹のテントウムシも見られた。去年は下写真「早い開花」を2月27日に撮影しているが、今年は去年を越える暖冬となりそうだ。やや強い西風が吹いていて気温はスマホの表示では柏崎は16度とある。季節外れの気温だ。 久しぶりの快晴の今日(2022.1.10)、家の近くの農道を歩いた。ここは周囲が田んぼで東西に八石山、黒姫山、米山が一望できる。昔から「刈羽三山」と呼ばれている山々だが自分は故郷石黒を抱く黒姫山に先ず目が行く。 (撮影日 2022.1.10 柏崎市新田畑) 今日も真っ先に黒姫山を眺めるに雪に覆わた山は薄雲のかかった空に溶け込んで見える。現在(10日)の板畑集落の積雪は140pとのことなので黒姫山の頂上付近は2m近い積雪であろう。 ところで、一昨日の散歩では意外な出会いに恵まれた。それというのはオオイヌノフグリの花との出会いである。寒の入り(1/5)してこれから大寒を迎えようという時期だ。農道10mほどにまばらではあるが開花しているオオイヌノフグリに思わず目を見張った。本欄を記事によれば一昨年の2月13日にオオイヌノフグリの花に出会い早い開花に驚いている。今回は本格的な開花ではないにしろ約一か月早く開花を確認したことになる。本種は、もともと冬生一年草であり10月〜12月に発芽して翌年の6月ごろには枯死する種でありこの時期の開花も珍しくないのではとも思われる。WEB上で調べて見ると花期を1〜5月とする解説サイトも若干見られる。 2023.12.30日、めずらしく快晴の一日で、午後近くの農道に散歩に出かけると上記と同じ場所に早くもオオイヌノフグリが点々と開花していた。(右下写真) 前回は1月5日の出会い、今回は年末の30日にと今年のうちに2回の早い開花に出会った。 いずれにしても冬の真っ盛りの今、春を告げるオオイヌノフグリの花に出会はなんともうれしい事である。 (写真2005.4.19大野) ふるさと石黒では最近多く見られるようになった 写真 2022.5.5 下石黒 若草時の姿 写真2009.3.20寄合 少しピンク色を帯びた花 2本の雄しべ 写真2016.3.11 草姿 写真2009.5.20寄合 群生→この画像を拡大して見る 2014.3.27長浜町 晴天時の正午前後2時間以外の花の様子 写真2018.3.25 長浜町 早い開花 (2019.2.27) 写真 2019.2.27 田塚 開花時に少し花冠を立ち上げる様子 写真 2019.3.10新田畑 写真2021.2.26 新田畑 ※背景は黒姫山 上石黒積雪254p |
解 説 ゴマノハグサ科 日本全土に分布。明治中期に我が国に入ったヨーロッパ産の帰化植物。農道の脇などに生える越年草。 茎は基部で枝分かれして(左下写真)地面を這い長さ15〜30pで柔らかな毛がある。 葉は下部のものは対生し上部のもは互生し、長さ6〜20o、幅4〜15o。先の鈍い鋸歯がある〔下写真〕。 花期は2〜5月。(1月の開花 も見られる)開花時間は午前10時頃から午後2時の晴天時。 茎の脇から花柄を伸ばしコバルト色で濃色の線のある花(径8o)を開く〔上写真〕。 ガクは深く4片にさけ花は深く4片に裂けて筒部はごく短い(下写真)。2本の雄しべをもつ〔上写真〕。1日花で夕方には閉じることで昆虫の訪花がなくとも自家受粉をおこなう。 果実は扁平な心臓形で数個の大型の種子をもつ。種子は長さ1.5oほどで腹部が凹んだ楕円形(左下写真)。 命名者は、牧野富太郎で名前の由来は果実の形がイヌの睾丸に似ていることによる。 (イヌノフグリという名はすでに在来種につけられていた〕 早い開花 写真2017.2.16椎谷 花 真冬の開花 写真2023.1.19新田畑 基部の葉と上部の葉 写真2009.5.20寄合 つぼみのころ 写真2016.3.11原町 短い筒部 写真2016.3.11原町 ガク 写真2009.4.20寄合 写真2016.3.11原町 果実 写真2019.2.27田塚 成熟した種子 写真2018.3.25 長浜町 夕方の花の様子 写真 2019.2.27田塚 すでに結実したもの
早い開花2 拡大→クリック 撮影 2019.2.13 下藤井 日光があたると開く花 写真 2021.2.27 新田畑 水滴を留めている葉はオニノゲシ 写真 2020.2.29 新田畑 ※学名「Veronica」は、ゴルゴタの刑場に向かうキリストの汗を拭き取った聖女の名前だという。今日散歩の途中で上写真のオオイヌノフグリの花を見て、ふと、その学名の由来を思いだした。葉の上の水滴はキリストの汗か少女の涙か・・・・・・。 年末30日にみられた開花 2023.12.30 新田畑 |