マツモ | |
暮らしとの関わり マツモは、「キンギョグサ」と呼ばれ親しみを持たれた植物である。筆者の子どもの頃にはタネ(家の脇の池)やため池などに普通に見られた。 水中でブラシ状に細い葉を広げた姿は美しいが、水から取り出すと哀れな姿に変わったことが子どもの頃の記憶にある。 子どもの頃、筆者の生家のタネ(ため池)にも、たくさん見られ、そのマツモの間をたくさんの水中生物が動き回っていた。→子どもの暮らし ミズカマキリ、ヤゴ、タイコウチ、ミズスマシ、マツモムシ、 「咬まれると雷が鳴るまで離さない」などと言われ怖れられたヘビトンボの幼虫など、85才になった今(2024年)でも次々と親しく目に浮かぶ。 しかし、現在(2005年)の村の家々のタネを観察するに、ほとんど水中昆虫の姿は見られない。 筆者の観察するところではこうした水中昆虫の減少の主な原因の一つにアメリカザリガニやアオサギなどの増加にあるように想われる。また、周辺に散布される除草剤などの影響もあるのではないか。 とくに、本種マツモの減少の原因は、農薬、特に除草剤の使用などによる生育環境の悪化にあと思われる。 それにしても、これだけ石黒地区の隅々まで歩いている筆者の目に触れないとは、まさに石黒ではウキクサと共にマツモは絶滅危惧種と見てよいのではないか。是非、来年(2011)も観察を続けたい。 今日(2011.8.9)思いがけなく、市街地周辺の池でマツモの大群生に出会った。そこにはミズオオバコも自生していたが、自然愛好家の個人が管理されているとのことである。 今後是非、雄花と雌花を観察してみたい。 昨日(2021.11.17)、知人が訪ねてきてマツモを譲ってほしいとのことで観察のため飼育している甕(かめ)の中を覗くと全然見当たらない。ついこの間までは輪生に葉を広げて繁茂していたのに知らぬ間に姿を消してしまった。不思議に思い、甕の底の方まで手を入れて触れたものを取り出して見ると下の写真のような越冬芽と思われるものが出てきた。さらに3月2日には球状の越冬芽もいくつか見られた。そのうちの一つを取り出して観察するに放射状に若芽らしきものが見られた。おそらくこの芽が夏期には旺盛に成長するのであろう。(下写真) 詳しい方に指導を仰ぎたい。 (写真2005.9.2 居谷) 繁茂したマツモ(緑色の葉はヒシ) 写真2011.8.9畔屋 写真2011.6.18 藤尾(隣村−上越市) 越冬芽の様子(飼育観察) 写真 2024.11.18 松美町 越冬芽の様子(飼育観察)-2 写真 2024.2.17 松美町 越冬芽が成長を始めた様子にも見えるが・・・ 写真 2022.3.2 松美町 |
解 説 マツモ科 全国の池や川に自生する多年草。 茎は長さ20〜80pほど基部は泥の中に入っているが普通の根はなく〔枝の変化したもので支えられている〕細長い円柱形でまばらに枝分かれする。もろく切断されやすい。 葉は節ごとに輪生して、柄はなく長さ1〜2pほどである。数回、二股に分かれて裂片は針状形で表面は、かぎ状に曲がった小さい鋸歯がある。托葉はない。 花期は6〜8月。葉の付け根に柄のない紅色をした小さな花を1個つける。 花には雄雌の別がある。ともに8〜10片に深く裂けた宿存性の総包があり裸花で花被はない。雄花は多数の雄花から出来ていて花糸はほとんどなく、ヤクは群生し長楕円形で先に2個の小さな尖った突起がある。 雌花は1個の雌しべから出来ていて、子房は長卵形で先には宿存性のカギ形の花柱が1個ある。 そう果は楕円形で長さ4〜5o基部に2本の長いトゲがある(下写真)。 冬は植物体は枯れるが枝の先端にできた越冬芽が残り翌年春に発芽する。(左下写真−冬期の様子) 筆者の観察では、2月下旬の観察で球状(径10〜20mmまたはコン棒状(長さ30〜40mm) (左写真)ほどである。 名前の由来は葉の様子が松に似ていることによる。 自然の水中のマツモ 写真2011.8.9畔屋 マツモ果実 写真2011.8.9畔屋 葉の鋸歯 写真2011.8.9畔屋 雄花と思われるが・・・ 写真 2011.8.9 畔屋 ※裸花で花被はないようだ。 越冬芽の様子(飼育観察) 写真 2022.2.27 松美町 |