ヒヨドリジョウゴ | |
暮らしとの関わり 市街地周辺では普通に見られるが、石黒では、きわめて希にしか見られない植物のひとつである。出会っても果実は数個しかついていない貧弱なものが多い。 だが、2004年に落合でたわわに実ったヒヨドリジョウゴに出会った。以後、居谷集落の人家の庭に自然に生えたという一株以外に目にしたことはない。 ヒヨドリジョウゴは「ツヅラゴ」という別名があるが、石黒でツヅラゴと呼ぶ植物はイヌホウズキである。 ちなみに、ヒヨドリジョウゴが帯状疱疹(たいじょうほうしん)に対して薬効があるとも伝えられているが、石黒ではイヌホウズキが帯状疱疹に効くと昔から伝えられている。 しかし、図鑑等で調べてみるに薬草としてのイヌホウズキの効能に「ツツラゴ」の文字は見あたらないが「腫れ物に効く」とある。おそらく、ヒヨドリジョウゴがほとんどなかった石黒ではイヌホウズキを帯状疱疹に効能があるとされツツラゴの名前が付いたものであろう。→イヌホウズキ 名前は、ヒヨドリが好んで食べることから付けられたと伝えられる。だが、初冬に沢山の果実がついていることからはそれほど好物であるとも思われない。 快晴の今日(2013.11.6)北条の菩提寺に自転車で出かけた。北条の集落入口付近の水路の向こうの雑木林の斜面に10mほどの木につる草が先端から覆い尽くしていた。そのつる草のなかに小粒の赤い実が沢山見える。とっさにヒヨドリジョウゴと思ったが、それらしき葉が見えない。 望遠レンズで葉を見るとアオツヅラフジ、ヤマノイモ、カナムグラの他にフジの葉とコナラらしき葉も見える。レンズを通しての観察では、どうやら立木はコナラのように思われた。 昔は、この辺の雑木は薪にするために数年おきに計画的に切り払われ、このような景観は想像もできなかったであろう。 →参考画像 今日(2013.12.26)久しぶりの晴天なので、午後から畔屋方面に自転車で撮影に出かけた。畔屋集落の山道でたわわに実をつけたヒヨドリジョウゴに出会った。上記参考画像の北条の個体も今はこのように鈴なりの果実を見せている事であろう。→参考画像 (2004.10.21落合 左上2009.10.21居谷 ) ヒヨドリジョウゴ若芽 写真2005.5.28田塚 花期から果実期へ 写真2009.9.17田塚 果実の大きさ 撮影2004.10.21落合 花期の頃のヒヨドリジョウゴと密生する軟毛 写真2005.8.27田塚 葉の表裏 写真2009.6.15田塚 |
解 説 ナス科 日本全土の低い山や低地に普通に見られるツル性の多年草。 根茎は長い 前年の古い茎から新しい枝を伸ばし葉の柄で他の草木に絡まりながら枝分かれして2〜3メートルに伸びる。葉と共に軟毛が密生している。(下写真) 葉は互生し柄があり、下部の葉は深く1〜2裂し〔左下写真〕、上部の葉は裂けない。長さ3〜10p、幅2〜5p。 花期は8〜9月。葉と対生の位置に花枝をつけ〔左下写真〕白色の花をつける。ガクは皿形で5裂する。花冠は5片に深く裂け、長さ約5o。裂片ははじめ平らに開くが後に花柄側に反り返る(下写真)。ヤク〔葯〕は楕円形。花筒の縁には緑色の斑紋がある〔下画像〕。 果実〔液果〕は径8oほどで形はミニトマトに似ている初め緑色だが熟すると紅色となり透明感を増す〔下写真〕。有毒。 名前の由来はヒヨドリが果実を好んで食べることによる。また、有毒なことから、ただヒヨドリが戯れることからとの説もある。 幼苗の茎の毛 写真2016.5.5田塚 葉に密生する軟毛 写真2013.5.2田塚 つぼみ〜果実へ 写真2007.8.27田塚 5裂するガク 写真2009.9.17田塚 花から果実へ 写真2011.8.6田塚 緑色の未熟な果実 写真2007.8.27田塚 成熟へ 撮影2004.10.16落合 熟して透明感のある果実 撮影2004.10.21落合 撮影2004.10.21落合 つる断面 撮影2010.10.21田塚 |