アヤメ

暮らしとの関わり
 筆者は、子どもの頃(1940年頃)には、アヤメなどという植物は知らなかった。ショウブといえばキショウブだったように記憶する。ほかに「ヨ(湯)タテショウブ」があったがこれは、月遅れの6月5日にショウブ湯にするショウブのことであった。このショウブはアヤメ科ではなくサトイモ科(現在ではショウブ科に区分のようだ)で、カキツバタやハナショウブとは異なる科である。これはその花を見ても納得できる。
 今、想うに、アヤメであったと思われる花を私が見たのは中学生の頃である。紫色の引き締まった感じの花、狭い葉が直立する茎を際立って見せるその花姿に心を打たれた。石黒ではアヤメ科の植物と言えば、何れも植栽植物であるがキショウブとシャガとヒオウギ位のものであった。
 現在では、知人の庭などで植栽されたアヤメにしばしば出会うが、花弁のつけ根付近の紋様(下写真)に興味を持って眺めている。目を近づけてじっと見ていると神秘的な世界に引き込まれるように思うのは自分だけであろうか。チョウや蛾の翅の紋様にも同様の興味を感ずるものが多い。

 このページをアップロ―ドしている時に、同郷出身の友人夫婦が訪ねて来られた。お土産に花束を頂いたものを妻がテーブルに飾ったものを見ると、黄色のジャーマンアイリスとキショウブと紫色のアヤメであった。そのタイミングよい頂き物をタネに大いに話が盛り上がった。写真←クリック

             開花前の様子

写真 2016.5.12畔屋

            開花期の様子

写真 2016.5.12畔屋
            花序のつくり

             花冠のつくり

写真 2016.5.12畔屋
   
          花弁の寅紋様の拡大

写真 2016.5.12畔屋


解 説
のアヤメ科
 北海道から九州の乾燥した草地や原野に自生する。多年草。
 とはいえ、野生のものに出会うことはまれであろう。しかし、各地で観賞用に栽培されている。
 茎はすくっと直立し高さ30~60㎝ほど。
 根茎は横走して分枝する。
 茎は葉の間から直立し、形は剣状線形で長さ30~50㎝ほど。
 葉は、平たい線状で先が尖り全縁,基部は鞘状になり茎を抱く。幅は1㎝未満で狭い。主脈は確認できるが、隆起した脈は見られない。
 花期は4~5月。茎頂に径7~8㎝の大形の紫色の花を2~3個付ける。外側の花弁(外花被片)は外側に垂れる。外花被片の広い部分(舷部)は円形で、つけ根に近くなる部分は黄色と紫の虎毛紋様がある。(左下写真)これが同定のポイントとなる。内花被3片は直立しこれも同定ポイントの一つ。雄しべは花柱の後に3個。
 さく果は柄をもって直立する。
長さ3.4~4.5㎝。種子の入った3個の部屋をもつ。
 名前の由来は花弁に見られる綾目(文目)の紋様による。



      つぼみ

写真 2016.5.12畔屋

     開花の直前

写真 2024.5.12畔屋      
     開花した姿

写真 2024.5.12畔屋

  花弁のつけ根側の紋様



写真 2024.5.12畔屋

鋭くとがる葉の先端

 全縁と明確ではない主脈

写真 2024.5.11柳田町

    果実(さく果)-1

果写真2024.5.25柳田町

    果実(さく果)-2

写真 2024.8.21柳田町

       種子

写真 2024.8.21柳田町