アマドコロ
暮らしとの関わり
 石黒では、アマドコロは、ごくまれにしか見られない。市街地周辺の山地でも同様のようだ。
 子どもの頃は、オオナルコユリと区別せず「ヘンビユリ」と呼んだ。方言の由来は分からないが、ヘンビの付く名前は他にも、ヘンビツバキヘンビイチゴ等がある。いずれも、役立たない、食べられないなど、さげすむ気持ちから付けられたものであろう。 
 石黒で、オオナルコユリやアマドコロを山菜として食べるようになったのはごく最近のことである(2010)。
 30年余り前に、曽地の山から庭に移植したことがあるが、その時にオニドコロのような根を初めて見て驚いた記憶かある。それから20数年。家を改築するまで周囲のシバに負けることなく一時は繁茂して掘り起こして間引くほどであったから、生命力の強い草なのであろう。

(写真上2005.5.30下石黒 右上2005.5.18落合 右下2005.7.26下石黒)


             互生する葉
写真2012.9.12荒浜

            全体の姿

写真2007.5.18下石黒


             アマドコロ小群
写真2014.4.16茨目

写真2005.5.10曾地


               花

写真2007.5.18下石黒

       花筒に接着する雄しべの下部

写真2012.5.5畔屋

      花筒の底にある蜜腺の近くに入るアリ

写真2012.5.5畔屋

            根茎と紫色を帯びる基部
写真2005.5.10曾地

解 説
ユリ科
 全国各地の山地や野原に生える多年草
 地下茎は円柱形で横に長く伸びてひげ根を出す(左下写真)。1年ごとに1本の茎を茎を地下茎の先端から出す
 高さは30〜80cmほど、茎には6本ほどの角張った筋()があり(下写真)上部は弓なりに曲がる。しばしば基部は紫色を帯びいている。
 葉は、葉柄は非常に短く、長楕円形で互生、長さは7〜12cmほど、裏側はやや白い(左写真)
 地下茎は大人の指ほどの太さで、枝状に伸び手その先から芽を出して増える。
 花期は4〜5月。花は下垂し、筒状で白く先端が緑色がかっている(左下写真)。花は長さは2cmほどで、花被片6個が合体して筒状となり先端は離れて開き最先端には白い短毛がある(左下写真)。
 雄しべは6個で下部が花筒に接着していて葯(やく)は内向き(下写真)花柱は単一で子房の2倍余ある。
 果実(液果)で緑色から熟すと暗緑色から黒色となる。
 名前の由来は、オニドコロの根とにているが苦くなく甘味があることによる。



 短い葉柄と茎の6本前後の稜

写真2007.5.18下石黒

      葉の表裏
写真2012.5.5畔屋

    上から見た花冠
 写真2012.5.5畔屋


   花被片の先端の白毛

写真2012.5.5畔屋

     果実と種子

写真2012.9.12荒浜