民具補説
           み〔箕〕のつくりと使い方
 私たちの幼い頃から、ミ〔箕〕とザルはどこの家にもなくてはならない用具でした。
 春の雪消えの頃になると、隣の町からミやザルを沢山背負って売り歩く人が何人か来ました。〔現在(2010年)でも春になると1人毎年やってきます〕
み〔箕〕

 新しいミを買いますと最初は主に米に使い、その後、古くなると雑穀の選別、次には、家の中の掃除時にゴミを入れて運ぶ時などに使いました。最後は屋外で使用するのでした。
 ミには「一斗(18リットル)ミ」と「5升ミ」という2種類があり、目的によって使い分けていました。
 石黒には孟宗竹は、雪が多いためによく育たないため希にしかありませんでした。ヤマダケ〔ネマガリタケ〕はありましたが、とくに竹細工を商売にする人はいませんでした。ザルなどは、各自がヤマダケを切ってきて作って使いました。
 ミの造りを見ますとフジの皮の白い部分を縦に、竹の皮の幅5〜6oを薄く削ったものを横に何十本も横に編み、一方を開きもう一方を閉じて織ってありました。縁全体は細いヤマダケのような竹の皮で丁寧に巻いて持ちやすいように作られています。
 ミの使用は色々あり、米を飯米を入れて天井からさげた俵から取り出したり、米タンクから取り出すときにつかいました。天井に下がった米俵に竹のサシを差して出てくる米を受け取る時には5升ミを使いました。
 またサヤからとりだしたばかりの穀物を入れ、両手で上下に仰ぐように動かして、穀物と軽いゴミや鞘のクズと分けるために使いました。この作業を「あおる」と言いましたが、昔の人はとても高度な技を身につけていたものでした。
 また、豆は丸いのでミの中に少し入れて、少しずつ斜めにして行くと良い豆はコロコロと転がり落ちていき、不良の豆は途中で止まるので選別できるのでした。また、楕円形の小豆は箕の中に広げて、ゴミや稔りの悪いものを手で一つずつ拾いました。


                      文・図 田辺雄司 (居谷)