米タンク 

 昔は、飯米は白米にしてタワラに詰めて座敷の天井につり下げて置いた。そして必要に応じてサシ棒を差しこみ米をの中に受け止めてコメビツに小出しにして使った。
 しかし、昭和25(1950)年ころから上の写真のような米タンクが普及し出した。
 米タンクはタワラによる保存よりは米の劣化を防いだ。タンクは家の中の比較的涼しいところにおくか、土蔵の中に置いた。
 筆者が子どもの頃、夜に土蔵に米を取り出しに行く親の手伝いをさせられた。手伝いは懐中電灯持ちであった。タンクの中の米が減ってくるとフタをとって長い棒で米を突いてやらないと下の取り出し口から米が出てこなかった。初期に普及したタンクは上のように全面のフタではなく中央に径30pほどの穴がありフタをするようになった。
 60余年も前のことで、米をとり出す様子の記憶はおぼろげだが、土蔵までの小路で見た降るような星空は今でも鮮明に思い出すことができる。