ネマガリダケ(チシマザサ) | |
暮らしとの関わり 石黒では「ヤマダケ」と呼んだ。 ネマガリダケは石黒では普通に見られるが、家の周りに見られるものは大方チマキザサである。 もともとネマガリダケは雪の多い土地にのみ自生するといわれるので石黒などは適地であるのであろうが、それほど大きな群生には出会ったことはない。たった一度見たのは、19才の秋〔昭和32年〕、地蔵峠から尾根伝いに黒姫山に登ったときに背丈よりはるかに高いネマガリタケノ大群生に出会ったことがあるだけである。 ネマガリダケはザルやカンジキなどの竹細工の材料として使われ昔は貴重な植物の一つであった。 ザルは、専用の幅の狭いナタで竹の先から刃を入れこねるようにして割る。2つに割ったものを更に2つに割り更にそれを細かく割ってヒゴ作りの粗い目をとおしたものを編んで作った。 筆者も中学生時代の教科学習の課題でザル作りを経験したが、この時に「木もと竹うら」という言葉を教えられた。つまり木は根本の方から、竹は先端の方向から割るという昔から伝わる生活の知恵の一つであった。実際に家の仕事で薪用のブナの丸太を割るときにも役だった知識である。 また、当時はグライダーをつくることが流行り高等科(現在の中学生)達がヒゴ作り具で作った細いヒゴ使って作ったグライダーが学校の二階の窓から下方150mほど離れた農協の屋根を越えたときの感動は今も忘れることはできない。 また、小学生のころにネマガリダケと麻縄を使って弓を作った。矢はススキの茎を使って作り遊んだことも憶えている。 春にはタケノコを山菜として採って食べた。孟宗竹の少ない石黒でタケノコといえばネマガリダケのタケノコであった。 (上写真2005.10.29 右上2007.5.13寄合) ネマガリザサの笹藪 上写真2004.10.19寄合 |
解 説 イネ科 チシマザサの別称。本州中部日本海側、北海道の高い標高の山地に多く自生する。広葉樹林や沢地などに群生する。 高さ1〜3m。太さ1〜2p。地下茎が地中をはい先端から斜めに芽を出し根元の曲がった桿(かん)に成長し群生する。 葉はチマキザサに似て長さ10〜20p。 花穂は3〜4年生の桿の先につき紫色の5〜6個の小花からなる(下写真)。 果実は熟して栗色となる。 名前の由来は千島が発見地であることと根元が曲がっていることによる。 (※竹は草や木とあらゆる点で大き く違うので、厳密には木でも草でもなく竹であると言いたいところ。) 山菜のタケノコ 写真2008.5.16下石黒 花 写真2009.5.19寄合 竹ヒゴ作り具
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