カンジキスカリ       

       楕円形のスカリ
             十日町博物館所蔵  

  上の写真の左がカンジキ、右がスカリである。
 カンジキはどこの家にもいくつかあった。それも大振りのものと小ぶりのものがあった。そして、特大のものがスカリであった。
 石黒では、一晩に1mの雪が積もることも珍しくなかった。そんなときには普通サイズのカンジキでは、腰まで雪にはまってしまうのでスカリを用いた。
 石黒では、全国で一般に使われる長楕円形のスカリは余り使われず上の写真の円形のものがほとんどであった。しかし、長楕円形のものもまれに使われていたと聞いている。〔右上写真→十日町博物館所蔵〕
 円形のスカリは横幅があるため、さぞかし歩きにくかったであろうが、表面積が大きいだけに体重を支える力は大きく足を雪にとられないという長所はあったであろう。
 スカリの前の先についた縄は足を上げるときに手で引き上げるためのものである。
 当時、カンジキは自分で作るのが普通であった。ネマガリタケを使って輪をつくり、苧縄をかけて作った。
 また、石黒では、一本の竹や木で輪を作る方式で2本を組み合わせて作った物には今のところ出会っていない。

関連サイト→衣食住−住

資料→カンジキの履き方(動画)

       

    小型カンジキ



    スカリの思い出

「スカリ」は、カンジキとちがってめったに見られませんでした。6年生の頃(30年代初め)大雪で荒天のある日、村人が順番に担当する学校の道送り人足4、5人の先頭を山下(屋号)の人がスカリを履いて、雪を漕ぎながら隣村まで道付けをして、村内に入るとカンジキやスカリをはずして、吹雪き混じりのこの日は学校まで村人が同行しました。この時に初めて見ました。びっくりする程の大きさで足を持ち上げる為の紐が付いていて、手で引っ張り上げながら歩くので歩きにくそうに見えました。当日は大雪で漸く学校に到着した時はすでにお昼近かったので、お弁当を食べて午後の授業はやらないでそのまま又、村の人と一緒に下校した事がありました。この時初めて「スカリ」という名前を知りました。そしてお弁当を食べるだけに学校へ行って帰って来たのもこの時が最初で最後でした。

   大橋洋子(大野出身)