ヒメモチ
暮らしとの関わり
 石黒では出会ったことはない。
 市街地周辺の山でも初めての出会いである。場所は野田地区の峠集落(現在廃村)への道筋であった。はじめ、ツルシキミではないかと思ったが、幹が直立していことと果実がやや大きいので、違うなと直感した。
 帰宅後、WEB上で調べると、どうやらヒメモチという樹木であるようだ。ただ、WEB上に掲載されているもの果柄は太い写真が多いが筆者の出会ったヒメモチの柄は細い。また、果実が色づく時期は10月とあるが、9月21日撮影の掲載写真はすでに赤く色づいている。標高500mという環境の違いによるものとも想われるが断定できない。
 ちなみに、もともと、ヒメモチが太平洋側に分布するのに対して、ヒメモチは、日本海側に分布する。このモチノキが日本海側の気候に適応し、積雪地で低木化したものと言われている。ヒメアオキなどとよく似た生い立ちの植物なのであろう。

写真2017.9.21小村峠


              果実と果柄

写真2017.9.21小岩峠
解 説
モチノキ科
 北海道西南部から本州は山陰地方に至る日本海側に分布する常緑低木。多雪地帯のブナ林の林床に生育し、ユキツバキハイイヌガヤヒメアオキエゾユズリハツルシキミなど常緑低木とともに多く見られる。
 積雪に適応した種で幹はしなやかで高さは1mほどになる。樹皮は灰白色。
葉は厚く、形はヒメアオキやエゾユズリハに似た感じを受ける。
 葉は長さ5〜15pほどで、1p内外の葉柄があり茎に互生するふつう全縁であるが、まれに鋸歯が見られる。
 花期は6〜7月、雌雄異株。花の色は雌雄とも緑を帯びた白色の4弁花。
 果実は10月から11月頃に赤く熟し、球状で径1pほどで葉のつけ根に1〜2個ほどつく。
 名前の由来は同属のモチノキに対して小さいことによる。


       葉の表裏
写真2017.9.21小岩峠

      果実と種子

写真2017.9.23 採取したもの