エゾユズリハ | |||||||
暮らしとの関わり エゾユズリハは、石黒ではブナ林の中に自生しているが少ない。そのせいか、方言の呼び名は聞いたことはない。 しかし、晩秋の山に入ると冬枯れの中で、その緑つややかな葉と赤い柄が人目をひく。 子どもの頃、車葉状に密生した葉と赤い柄を美しいとは思ったが手は出さなかった。おそらく無意識のうちにヤマウルシを連想したからであろう。そのせいか、エゾユズリハには、どこか毒々しさのようなものを今でも感じる。 近在の松代町などでは、ユズリハを、新芽が伸びるまで古い葉が落ちないことから子孫繁栄の縁起をかつぎ正月の松飾に使ったと聞くが、そのような習慣があればユズリハに対する印象は石黒でも全く異なるものになっていたであろう。 雌雄異株であるがそれぞれの花は珍しい形をしている。→参考画像 昭和50年代の国語の教科書に河井酔茗作の「ゆずり葉」という詩があったことを憶えている人もいるだろう。筆者も教材として何度か扱った。 「子供たちよ。これはゆずり葉の木です。このゆずり葉は 新しい葉が出来ると 入り代わって古い葉が落ちてしまうのです。 こんなに厚い葉 こんなに大きい葉でも 新しい葉が出来ると無造作に落ちる 新しい葉にいのちをゆずって」 という書きだしであった。 この詩のユズリハは、その名のとおり高木となるユズリハであろう。作者河井酔茗は大阪生まれの人であることからもそう思う。また、高い枝から新葉が出るころに樹下に黄色い葉が一面に落ちる様子がこの詩の発想を促したのではなかろうか。 →ユズリハ 写真上2004.12.11 雄株 右上2007.8.16 右下2004.12.18 下石黒 初冬のエゾユズリハ 写真2005.1.6下石黒 積雪期−伏して雪に耐える 写真2005.3.10下石黒 早春のころ (背景−石黒城址−右尾根) 写真 2019.3.2 下石黒 タキノフチづんねから 開花前(雄株) 写真2014.5.3下石黒 花期−雄株 写真2013.5.28下石黒 花期−雌株 写真2013.5.28下石黒
果実期−前期 写真 2007.8.16 下石黒 果実期−古い葉が落ちる頃 写真2008.10.21下石黒 写真 2017.9.17 小村峠 秋の雄木(手前葉一枚を取り去ったもの) 写真2015.10.3下石黒 庭木として植栽-@ 3mの積雪でも冬囲い不要 写真2018.10.2下石黒 |
解 説 トウダイグサ科 北海道から本州北部の日本海側の山地に多く生える常緑の低木。雌雄異株。ユズリハの変種。 高さ1〜3m。多雪地帯では下部が地をはう。葉の長さは10〜15p。 葉は互生、有柄で長さ10〜15p。表面は淡緑色で滑らか、裏面は白い粉をしく。側脈数は8〜10個でユズリハに比べてすくない。 花期は5月ごろ、前年枝の葉のつけ根に花弁もガクもない花をつける(左下写真)。 果実は径1pほど、楕円形で熟すと黒くなり白粉を帯びる(上写真) 。 名前の由来は北海道に多いこと、ユズリハは新しい葉が成長してから古い葉が落ちることによる。 幼苗 写真2009.7.31下石黒 若木 写真2007.11.19下石黒 早春の頃-前方マルバマンサク 写真 2019.3.2下石黒 若芽−雄木 写真 2019.4.23 下石黒 生家跡庭 春の新芽 写真2009.4.19下石黒〔小雪〕 エゾユズリハの花〔雄-開花期〕 写真2009.4.24下石黒〔小雪〕 つぼみから開花へ〔雄花〕 写真2009.4.24下石黒〔小雪〕 若い果実 写真2014.6.15下石黒 成熟へ 写真2019.9.25下石黒 成熟した果実 写真2015.10.3下石黒 エゾユズリハの果実と種子 写真2009.10.1下石黒 寒さに耐える真冬の葉 写真2008.2.16下石黒 花粉 採取2013.5.28下石黒 庭木として植栽-A 写真2018.5.20下石黒 |