ハイイヌガヤ
暮らしとの関わり
 石黒ではハイイヌガヤは落葉樹の中のみならず杉林の中にも所々で見受けられる。両側に羽状に互生する艶やかな葉は美しく、晩秋や冬の林では特に目だつ。
 4、5mの積雪にも地表に伏して耐えて雪解けとともに起きあがるたくましい姿は、ユキツバキとともに村人の共感を呼び起こしてきたものてあろう。
 果肉は赤く熟し食べられ甘い。種子からは昔は灯火用の油をとったという。
 似た植物にチャボガヤがあるが、葉の先端がとげ状となっていて触ると痛いことで区別できる。
 今日(2019.6.18)、野鳥研究者のH氏と水上〜岡野町林道(開削中)に出かけた。帰路水上の集落へ流れ込む小川の上流の道端でハイイヌガヤに出会った。ちょうど今年の雌花が結実したものと昨年の幼果が成長したものが撮影できた。
 ちなみに、この小川沿いには40年ほど前に砂利道の林道(農道?)があり、この地区の小学校に勤めていた自分は子どもたちと何度か歩いたことがあった。現在は、立派な林道ができて懐かしき旧道は草藪に覆い隠されていたが、今日、それらしきところをたどってみると記憶が蘇った。ミヤマカタバミとの初めての出会いもこの小川沿いであった。本サイト掲載のミヤマカタバミはその折、石黒に一株移植したものである。


写真2004.12.4下石黒


       雪消えとともに立ち上がった個体

写真2015.4.24居谷

              開花期-雄花


写真2019.5.2板畑 嶽

            雌花(幼果へ)と果実(昨年結実)

 写真2019.6.18水上

    基部から斜上するハイイヌガヤ

写真2006.5.15下石黒

            幼苗

写真2009.11.6下石黒

   雪の下に伏して冬を越すハイイヌガヤとユキツバキ

写真2012.4.21下石黒


解 説
イヌガヤ科
 主に日本海側の多雪地帯に分布。雌雄異株の常緑針葉低木。
 高さ1〜2m。幹は基部から斜上し地下茎で横に広がる。
〔左下写真〕 
 葉は互生し、イヌガヤに比べて幅が広く長さも短い。長さ2,5〜3,5p、幅2,5〜3o。先はとがるが軟らかく触れても痛くない。葉の下面は粉白色で中心に緑色の線がある
〔下写真〕
 雄花の穂は黄色で球状、
〔左下写真〕、雌花の穂は緑色で楕円形。雄花は前年枝の葉のつけ根の下側に多数つき、直径約8_の球形で淡黄褐色をする。
 雌花は長さ5mmほとで卵形で淡緑色、本年枝の葉のつけ根や枝先に疎らにつける。
 果実は長さ約2.5pの卵形で、翌年の秋に淡緑色から紅紫色に熟し
〔下写真〕果肉は食べられる。
 名前の由来は、カヤに似ていて大木にはならず用材にもならない事と傾いて生えて地上をはうこによる。



    ハイイヌガヤ葉裏

写真2006.5.15下石黒

     雄花-つぼみ

写真2010.12.1下石黒

     雄花-2

写真2009.4.18下石黒

     雌花と果実

写真2019.6.18 水上

   ハイイヌガヤの果実





(写真2007.9.4下石黒)

     熟した果実






写真2007.9.29下石黒)

         

写真2007.9.29下石黒

       幹と枝
 写真2019.6.18 水上