ヤマドリ
暮らしとの関わり
 昔は、石黒ではよく見かける野鳥であったが、今は滅多に見られない鳥となった。
 子供の頃は、山道を歩いていると急に大きな羽音を立てて飛び立ち驚かされることがよくあった。
 また、繁殖期にはあちこちで「ドドドド」という羽音が林の中で盛んに聞こえた。
 時々、家の近くの稲や豆のハサの周りにやって来ることもあった。
 たまに、巣を見つけ卵をとる人もいた。卵は10個ほど産むが、一個だけ残しておくと産み足すので次に行くと、またとることができるという話も聞いたことがある。
 また、冬季は村の漁師が鉄砲で捕ったものを買って正月のご馳走にした。父親が羽をむしるところにいて、長い尾羽を兄弟で争うように貰ったことを憶えている人もあろう。
 肉は、吸い物の沈みにしたり、ソバのダシにしたりしたが、味はよくノウサギの肉に比べて格段の差があった。
 石黒では、近年、個体数が激減していることは確かである。ここ10年ほど(2010)のキツネの個体数の増加しているこも影響しているのではなかろうか。
 石黒の動植物の撮影を始めてからすでに10年たつが、石黒のみならず柏崎市街地周辺の山でヤマドリに出会ったことはない。また、ドラミングを聴いたこともない(2015)。

〔写真上2005.4 右下2005.2.撮影者道郎〕

解 説
キジ科
 日本固有種で本州から九州の山林に棲息する。
 オスは尾が長くメスより大きく全長約125p、メスは全長約60p。分布域により多少羽色や尾の紋様に違いがある。
 産卵期は4〜6月までで木の根元や岩陰に巣を作り一腹7〜10個の卵を産む。抱卵日数は約24日。抱卵と雛(ひな)の世話は雌のみが行う。
 
オスは繁殖期に地上で両翼を打ってドドドドと太鼓を打つような音〔トラミング〕を立てる。
 餌は主に草の種や葉、ドングリなど果実のほか昆虫類、クモ、カタツムリなどで水辺を好む。
 多雪地帯でも渓流や雪の積もらない傾斜地やわき水の周りなどで食物を探す。