オニグモ
暮らしとの関わり
 オニグモは、家の周りに多く見られるため子どもの頃から親しみのあるクモである。
 とくに、家の庭から暮れ方の空を見上げると、昼間はなかった大きな巣があり真ん中にオニグモがいたというような記憶は誰にもあるだろう。
 また、その巣にトンボや蝶がかかって、もがく姿も見たことがあるにちがいない。
 子どもの頃にトンボなどを、わざと巣にかけてやると長い脚で押さえつけて尾の先から糸を液体のように勢いよく出してからげてしまった。
 家の中に巣をかけるクモもオニグモの一種といわれるが、昔の茅葺き屋のニワの窓際などにはおびただしい蜘蛛の巣があり、アブやハエがかかっていたものだ。昔の茅葺の家はクモにとっては棲みやすい場所であったに違いない。

参考資料→オニグモの巣作り

(写真2005.9.25下石黒)


      背の方から見たからだ

写真2004.9.2上石黒

       巣作りをするオニグモ
写真2015.9.26田塚


解 説
コガネクモ科
 日本全土に分布。人家周辺及び山林に生息する。
 体長雌は20〜30mm、雄は15〜20mmの大型クモ。
 成虫が見られるのは夏で8〜9月にかけて産卵する。卵は袋状体にして壁や樹皮に貼り付ける。 
 幼虫は翌年春早く巣を出て夏に成虫となる。
 体の色は、褐色、黒色、灰褐色と変異が多い。
 頭から胸はやや扁平、眼は8個、4個ずつが前後に列に並んでいて個々の眼は突出している。
 脚はよく発達している。腹部は三角形で背の方に木の葉に似た紋様(葉状斑)がある(左写真)
 夜行性で夕方から大きな(大きなものは1m)円形の巣を張りその中心に静止して獲物のかかるのを待つ。夜明け前には巣をたたむ。
 朝になると巣から離れて物陰に潜む。 
 その際、西日本のクモは巣をこわす(食べる)が、北日本のクモはこわさないという。また、巣を食べないクモもあるなど諸説がある。
 産卵期は、8〜10月で直径2〜3pほどの卵の入った巣を作る。
 名前の由来は不明。




  散歩中に見かけた個体

写真 2019.8.1 市内松美町