オヤマボクチ
暮らしとの関わり
 オヤマボクチを石黒では、「ヤマゴンボウ」と呼んだ。葉がゴボウに似ていることからそう呼ばれたものであろう。
 石黒では、どこにでもあるというわけではないが、日当たりのよい山の斜面などに自生している。
 花はうつむき加減に咲いているがよく見るとノアザミナンブアザミの花を想わせる美しさがある。また、つぼみの状態は木の実のような形〔下写真〕をしていてそれはそれで美しい。
 また、10月末のころに開花したオヤマボクチの花に沢山のクマンバチが集まっている様子をよく目にする。
 昔から、オヤマボクチはヤマノイモと共にソバづくりには欠かせないものであった。葉を乾燥させよく揉(も)んで繊維だけをとりだしソバ粉に混ぜて捏ねた。こうして作ると繊維がツナギとなり細く刻んでも切れないといわれた。→衣食住・ソバ

石黒の植物補説−ヤマゴボウ
(写真上2005.5.28寄合 右上2005.11.6寄合 右下2004.12.19下石黒)


                幼苗

写真2009.4.18下石黒

   木の実のような形のつぼみが開花する様子

(写真2007.10.19下石黒)

          オヤマボクチの根

写真2009.5.8寄合

写真2011.12.1畔屋


         晩秋のオヤマボクチ

写真2007.11.5上石黒

         花から果実へ

写真2007.11.5 下石黒

          初冬のオヤマボクチ

写真2008.11.24 寄合風張り

解 説
キク科
 北海道・本州中部以北・四国に分布し日当たりのよい山野や林の周囲などに生える多年草
 根茎は太く地下で斜めあるいは横に這う(左下写真)
 茎は紫色を帯び太く1メートル以上にもなり多少白色の綿毛を密生し上部で細かく枝わかれする。
 根生葉は大型で長柄があり下面に白色の綿毛を密生し(下写真)縁には不整の鋸歯〔大きな切れ込み〕がある。〔下写真〕長さ15〜35p。茎葉は小形で互生し葉柄も短くなりついには無柄となる。
 花期は、9〜10月長い柄の先に暗紫色の花(径4〜5cm)を横向きまたは下向きにつける。大形で径4pほどになる。総包片は硬くとがり開く。総苞には白いクモ毛が多くみられ、とくに蕾の時に目立つ(下写真)
 そう果は斜めに花床につき長さ約6oで、長さ約16oの褐色の冠毛(剛毛)がある(上・下写真)
 名前の由来は、葉の裏の綿毛が火打ち石から出る火花を移しとるために昔使われたことによる。また、ヤマボクチより大きいことから「雄ヤマボクチ」呼ばれたもの。



 くもの糸状毛の見られるツボミ

写真2005.8.29下石黒
       花1


        花2

写真2006.10.8下石黒

       果実期
写真2009.11.6下石黒

     種子散布期
写真2013.12.26下石黒

        そう果

写真2009.11.6下石黒

      種子と冠毛


     葉の縁の鋸歯

写真2009.5.8下石黒

   綿毛の密生する葉裏

写真2009.10.19落合

    不定根に見られる鱗片状のもの

写真2011.12.1畔屋