ナツズイセン | |
暮らしとの関わり 石黒では、ナツズイセンは、ヒガンバナ、キツネノカミソリと同様、人家の屋敷跡の草藪でよく見かける。そこはすでに原野に還っているのだが彼らは逞しく生き続けている。 その姿を見る度に、その生命力の強さにに感動するとともに一種の感慨にとらわれてしまう。 上の写真の花は、家族が離村してすでに十数年もたつ屋敷跡の草むらで出会った。思わず、「おお、生きていたのかお前たち ! 」と声をかけてしまった。 春の早いうちに葉を出し周りの草が伸びないうちに鱗茎を充実させるというこの植物独特の命の営みが、このような強い生命力を与えているのであろう。 昭和30年後半からの高度成長がもたらした過疎化の波に、やむなく遠い地に居を移したこの屋敷の家人も、つつがなきや・・・。 〔写真2006.9.1下石黒 右下2006.9.10寄合〕 春の葉の様子 写真2021.4.5 田塚 秋−つぼみから開花へ 写真2015.8.23田塚 離村の家跡の草むらに咲くナツズイセン 写真2007.8.24寄合 庭に植えられたナツズイセン 写真2016.8.8 松美町 写真2020.8.4 松美町 |
解 説 ヒガンバナ科 本州、四国、九州の各地に、栽培されたものや野生化したものも見られる。ラッキョウ形の鱗茎をもつ。外皮は褐色で下にヒゲ根がある。 葉を早春に伸ばし6月下旬には枯れる。葉は、長さ30〜40p、幅2〜3pほど。 花期は8〜9月。50〜70pの花茎を伸ばし先端に淡紅色の花を外向きに3〜5個つける〔左上写真〕。総包片は被針形で長さ3〜4p、花柄は長さ1.5〜3p。花被片は半開きで長さ5〜7p内外、幅1.5p内外。先は反り返る。雄しべは花被片より短くヤクは淡紅色。 果実は付いてもふつう種子はできず一般には鱗茎で増やすが、希に結実する〔上写真〕。 名前の由来は葉がスイセンに似て夏に開花することによる。 つぼみ 写真2015.8.23田塚 つぼみから開花へ 写真2015.8.25田塚 花期 写真2011.8.21寄合 花冠のつくり 写真2013.8.26下石黒 球 根 写真2016.9.13 松美町 |