八重咲きスイセン(フォンシオン) | |
暮らしとの関わり 筆者が子どもの頃(〜1945)、石黒で「スイセン」と言えば、この八重咲きスイセンのことであった。WEB上で調べると、これは「フォンシオン」と呼ばられる古典的な八重咲き水仙であるとのこと。 石黒の遅い雪消えを待てずに残雪を突き抜けて黄色い芽を出し、雪解けとともにぐんぐん伸びてツボミをつけるその生命力には驚くほどのものがあった。 八重咲きスイセンが、春の陽光を存分に浴びて根茎に養分を蓄え終わる頃には周囲の雑草が今にもスイセンを覆いつくそうとしている。雪解けを待ちきれないで残雪を突き抜けて伸びる八重咲きスイセンの焦る気持ちも分かろうというものだ。 今日、原野に還った屋敷跡で生き残って花を咲かせているのはヒガンバナ科の植物であるが、その中でも最も多いのはこの八重咲きスイセンであろう。 早春の村を歩くとしばしば目にするが、そこは決まってかつて家のあった場所である。筆者の目には、過疎化による離村で、今はなき二百余軒の屋敷跡を示す墓標の如くにも見える。→過疎化による石黒村の戸数の推移 八重咲スイセンは、ウィルス菌によって花被が黄緑色に劣化したものが多い。 しかし、今日(2020.4.4)松美町集会所近くで健全な八重咲スイセンの花に出会いその美しさを知ることが出来た。 画像→クリック とはいうものの、調べて見ると本種は、ウイルス感染により偶然にできた品種だと言われているから、正常と思われる花(右下)の花の方が異常であると言うべきかも・・・・・。 写真2007.4.18下石黒 つぼみ期 写真2013.4.2田塚 開花前 写真 2015.3.30 春日町 花のつくり 写真 2007.4.18 下石黒 |
解 説 ヒガンバナ科 地中海沿岸地方原産の耐寒性球根植物。 古典的な園芸種スイセンで西洋では17世紀頃から園芸植物とされる。 我が国でも昔から園芸植物として栽培された。現在、各地で野生化してる個体がしばしば見受けられる。 高さ30〜40p。 花期は4〜5月。一茎に一花の八重咲き。 花被も副花冠もばらばらに分かられていて区別がつかない(左下写真)。 花のボリュームはあるが重さで花が傾き、かつ、ウィルスにより花被が緑色を帯びたものが多く、見栄えがよくない(下写真)。 有毒植物。 つぼみ 写真 2013.4.2 田塚 黄緑色に劣化した花 写真 2007.4.18 下石黒 人家跡に咲くスイセン 写真 2009.4.24 下石黒 ウィルスの影響を受けない花 写真 2020.4.4 松美町→拡大 |