キツネノカミソリ
暮らしとの関わり
 石黒では、民家の近くにしか見られない。しばしば、離村した家の屋敷跡の草むらで出会うことがある。
 このことから、石黒では、ヒガンバナスイセンと同様に、かつて、人が屋敷や畑に植えたものが生き延びて半野生化しているものと思われる。
 それにしても、20年以上も前に原野と化している過疎化による離村の屋敷跡に、今も生き延びいるとは何と強靱なる生命力であることか。それは、他の植物より一足先に葉の時期をずらせて、他の植物が葉を茂らし日陰となる前に球根にたっプリ栄養を貯える彼らの優れた戦略によるものであろう。
 柏崎市街地周辺では野生のキツネノカミソリが普通にみられる。1990年代に西山地内で大群生を見たことがある。
 名前の由来は、いろいろな説があり、突飛なようだが、花色を狐火に例えたものもあるという。筆者はこの説に納得いく場面に出会ったことがある。
 2010年の9月3日の夕方、畔屋の山道で手前の斜面に咲いていたキツネノカミソリの花が、向かいからの夕日を浴びて火のように耀いて見えた。下の写真はその時のものではないが似た様子なので掲載した。

〔写真2006.9.8下石黒・右下2006.5.6寄合〕


   早春に葉が出る (左下にエンレイソウ)

  写真 2010.4.22 落合

          4月の中頃の様子

            秋の花期

  写真2006.9.8下石黒
           花のつくり

 写真2006.9.8下石黒

    木漏れ日の中で狐火のように見えた


写真2010.9.3曽地

          つぼみから果実まで

写真2016.9.22松美町
解 説
ヒガンバナ科
 本州、四国、九州の各地の日当たりの良い草地に生える多年草
 鱗茎植物。ラッキョウ形の鱗茎で大きさは径2~4㎝。外皮は黒褐色。
 春にスイセンに似た帯状の葉を出し夏には枯れる。葉の長さは30~40㎝、幅8~10㎝〔上写真〕
 その後8~9月に30~50㎝の花茎を伸ばし3~5個のの花をつける。総包片披針形で3~4㎝(下写真)。下部は筒状で花柄は長さ2~6㎝。
 花は黄赤色。花弁は長さ5~8㎝で多少傾いて開く。6個の雄しべは花弁とほぼ同じ長さで葯〔やく-花粉袋〕は淡黄色〔左写真〕。花柱は長い糸状で子房は下位にあり緑色で3室からなる。
 果実球形のさく果で径1.5㎝。種子は黒色丸く径6㎜ほど。
 名前の由来は葉の形をカミソリに見立てたもの。



   4月初めのころの葉

2009‎年‎3‎月‎20‎日(記録的小雪)

       つぼみ

写真2009.9.16寄合

       総苞片

写真2006.9.8下石黒

       果実期へ

写真2016.9.12松美町

        果実
写真2010.9.18下石黒

        鱗茎

写真2016.9.22松美町