ナンバンギセル
暮らしとの関わり
 初めてナンバンギセルに出会ったのは、長男が小学4年生の時であったから今から40年余も前のことになる。
 場所は、畔屋トンネルを出て左手の林道に入った道路わきであった。ススキの基部に生えていた個体を見つけた長男が大発見をしたかのごとく大声をあげたので、行ってみるとナンバンキセルだった。
 しかし、当時は植物には興味はあったが、未だ本サイトを作る前であったので写真を撮ることもなくやり過ごしてしまった。実は、その日は二日前に下見をしておいたナラタケを採りに出かけたので、そちらに直行してしまったのだった。
 その後ナンバンギセルに出会うチャンスに恵まれることはなかった。時々、その時のこと思いだし撮影しなかったことが悔やまれた。
 そんなわけでナンバンギセルのページの作製は諦めかけていた所、PC同好会のMさんから鉢植えの個体と写真を頂き、早速まとめたのが本頁である。
 
 さて、それから1年近く経った今日(2024.8.27)、明後日にも新潟県に近づきそうな大型台風10号を前に、植木鉢の移動をしていると、何とナンバンギセルの鉢に7本もの花柄が出ているではないか。(下写真)
 早速、観察、撮影をして「故郷の動植物」の頁に掲載した。 その後、その時の植木鉢が径10㎝ほどであったため、宿主の植物が弱って枯れてしまう恐れがあったので、一回り大型の植木鉢に植え替えて翌年の出会いを待つことにした。
 それから1年後の一昨日(2025.8.20)、連日の猛暑に水道のホースから直に水をかけるという乱暴な水くれを終わって、ふとナンバンギセルの鉢を見ると数本の花柄が伸びている事に気づいた。昨年は花期の後半であったが、今回は花期前半であり貴重な観察ができた。今後さらに観察と撮影を続けて本ページを充実したものにしたいと思っている。
上写真 2024.8.27 松美町
  
    沢山発生したナンバンギセル

写真 2024.8.27 松美町

     8月、花序(花柄、花冠)が地上に現れた頃

上写真 2025.8.20 松美町
 
        花序の様子-つぼみの頃

上写真 2025.8.20 松美町

        花序の様子-開花の頃
上写真 2023.10.3  撮影 MITUKO.E

         果実期に向かう花序

 写真2023.9.3 松美町

  全体の姿→
茎、葉の部分は左の拡大画像を参照

上写真 2025.8.20 松美町


解 説
ハマウツボ科
 日本各地に見られる寄生植物ススキチガヤミョウガなどの根に寄生する。(光合成色素を持たない)
 茎は、ごく短くほとんど地上に出ず、赤褐色で数枚の鱗片状の葉が互生する。(下写真参照)
 葉は、全寄生植物であることから栄養分を宿主から得るため持たない。
 花期は8~10月。葉の脇から長い花柄を直立して(下写真参照)先端に淡紫色の大型の花を開く。
 花序の高さ15~18㎝。ガクは赤褐色の舟形で一方が深く裂けて長さ2~3㎝、先端がとがり淡紫色の条がある。
 花冠は筒状で長さ3~3.5㎝。へりは浅く5裂して唇形となる。
 花冠に癒着した2本ずつの長さの異なる4本の雄しべがある。は2室に分かれているが1室のみ発達する。
 果実は卵球形のさく果で1室からなり、細かな多数の種子をもつ。
 名前の由来は、形が西洋から伝えられた喫煙具のキセルまたはマドロスパイプに似ることによる。
 日本古代の名前は「思い草」(万葉集)



      幼い花序-1  写真 2025.8.20 松美町

    幼い花序-2

写真 2025.8.20 松美町

  花序の成長の様子-2

写真 2025.8.22 松美町

    花序の様子-2

写真 2025.8.22 松美町

     花序の様子-3

  撮影 MITUKO.E

   花序の様子-2

 写真 MITUKO.E

      舟形のガク
  撮影 MITUKO.E

  花のつくり(右は花冠の内部)

写真 2025.8.29 松美町

   雄しべ4本・雌しべ1本

写真 2025.8.30 松美町


  茎、葉の部分の拡大

写真 2025.8.20 松美町
    
※ 花のつくり、蒴果、種子等の画像は準備中