チガヤ | |
暮らしとの関わり チガヤは、カヤに比べ大した用途もない上に、地下茎で繁茂するので畑の強害草となり嫌われた。 しかし、子供にとっては親しみのある草であった。ふくらみかけた穂を引き抜いて柄のもとの柔らかな部分を食べると甘みがあり美味しかった〔※一般には若い花穂を噛んだと伝えられるが・・・〕。 この甘さは、チガヤがサトウキビ属に近い種であるためといわれている。 また、初夏に、銀白色の動物の尾のような穂が一面に風にそよぐ様も子どもの心をかきたてる魅力があった。思わずチガヤの群生の中に飛び込んで駆けまわったものである。→群生写真 現在(2011)、東南アジアやアメリカでは森林伐採跡地などにチガヤが繁茂すると、その後の森林復活が難しくなるため「最強の雑草」と呼ばれているという。 一方、最近わが国では堤防の斜面の緑化への利用が注目されているとのこと。 (写真上・右上2005.6.20板畑 右下2005.7.3大野) 資料→チガヤ−ビデオ-1 資料→チガヤ−ビデオ-2 資料→旅立ちを迎えるチガヤの種子(画像) 円柱状の花序 撮影2007.6.2落合 チガヤの穂(ツバナ) 写真2013.6.10上石黒 夕陽を通してみる果実期のチガヤ 写真2009.6.16下石黒 海辺のチガヤ-1 写真2011.6.10荒浜 海辺のチガヤ-2 写真2015.5.21安政町 花序の変化のようす 写真2014.7.15上石黒 市街地周辺のチガヤ 写真2021.5.26 新田畑 背景−黒姫山 |
解 説 イネ科 日本全土の山野の日当たりのよいところに群生する多年草。 根茎は細長く白色で節があり地中を横にはう。 茎は直立してやや細く高さ30〜70pで2〜3節がある。茎の節には白毛があるものと無いものがある。 葉は線形で長さ20〜40p、幅7〜12o。ふつう2〜3枚ある。 花期は5〜6月。葉の出る前に、長さ10〜20p、幅1pほどの白い尾状の花序を出す〔左写真〕。 これを古くは「ツバナ」と呼び万葉集にも歌われている(下※参照)。 後に、その茎が長く伸びて先端に円柱状の花序をつけ白毛を密生し、褐色の雄しべが目立つ〔上写真〕。花粉は風によって運ばれる。 円筒状の花序の小穂は2個の小花からなり、雄しべは2本、雌しべは長い2本の花柱をもち、先端の柱頭は紫黒色。白毛の間から、雌しべの柱頭と雄しべが突き出して目立つ。 後に種子についた毛が生長し花序全体が白毛に包まれたようになる。長い毛をもった種子〔上写真〕は冠毛があり風に乗って広く撒布される。 名前の由来は群生する様から千の茅という意味、その他、赤い花穂や葉が紅葉することからなど諸説がある。 ※万葉集 茅花(つばな)抜く浅茅が原のつほすみれ今盛りなり我(あ)が恋ふらくは (1449−大伴田村毛大嬢−おおともの-たむらのおおいらつめ) 花期前 撮影2006.9.3落合 雄しべの葯(ヤク) 写真2014.7.15上石黒 種子散布期 撮影2010.6.13下石黒 真冬に穂をつけたままのチガヤ 写真2017.2.1田塚 初夏のチガヤ 写真2019.6.12 松美町 背景黒姫山
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