ナラタケ
暮らしとの関わり
 石黒ではナラタケモドキも含めて「ヒガンボウズ」と呼んだ。
 野生のキノコとしては最も人気があった。ヒガンボウズの群生に出会うと背負いかごに何杯も採れた。こういう場面に出会ったときのことを昔の人は「狐に化かされたようだった」と表現した。稲の取り入れの頃が最盛期で忙しい中に出会うと戸惑うこともあった。
 ただ、時期を失するとすぐに腐食するため採取時期が肝心であった。また、壊れやすいので採って帰り、さっとゆでてからゴミなどを取った。
 化学調味料が普及してなかった昭和20年代にはナラタケのお汁はダシが出て美味しかった。石黒では多く取れるので塩漬けにして冬季に雑煮などに入れて食べた。
 今日でも、「なんといってもキノコで一番美味しいのはヒガンボウズだ」という人は少なくない。
 
〔写真2005.10.21 下石黒〕

解 説
キシメジ科
 全世界に分布する最もポピュラーな食用キノコ。初夏から晩秋まで枯れた木の根元や倒木、その周りに発生する。まれには春に群がって発生している様を目にする。
 キノコの傘は径4〜15pで、ほぼ平らに開く。表面は飴色〜淡黄褐色で中央部には細かいささくれが見られる。ヒダは初めは白いが後に淡茶褐色のシミを生じる。柄は5〜15p。
 茎には膜質で白いツバがある。食用でダシが出てぬめりもあり美味。
 生食,過食は禁物。

 名前の由来はコナラの根元に多く発生することによる。