アキノノゲシ
暮らしとの関わり
 アキノノゲシを石黒では、「ンマゴヤシ→馬肥やし」と呼び、飼いウサギ(食肉用)が最も好む草のひとつであった。ウサギのエサ採りは、どこの家でも子どもの役割であったので、子どもたちは、アキノノゲシがあると我れさきに採った。草丈が伸びたものは4〜5本採れば1日分の餌になったからだ。
 アキノノゲシは、ハナニガナと同様、手折ると白い液が出た(下写真)。子どもたちは「乳が出る」と言ったが、この液が手につくと黒褐色になって洗ってもなかなか取れなかった。
 秋になると、アンゴラウサギの毛のような真っ白な綿毛をつけた種子が風にのって次々と飛び散った。

 昨日(2015.10.13)、吉田在住の田辺家に石黒村庄屋文書をお返しに行った帰り桐原から越後線の電車に乗った。ホームに立つとすぐ前の線路の脇にアキノノゲシが沢山生えていた。ここは、筆者が50年ほど前に8年間も、前方2qほどの夏戸校への通勤で乗り降りした駅である。
 時には帰路、駅まで未だ100mもあるというのに、列車が到着することがあった。そんな時には必死に手を振りながら走っていくと列車はいつも待ってくれた。学校も、職員、生徒共にゆったりとした余裕のある時代であった。そんなことを思いだしながら、遥か前方に眺められる校舎付近の懐かしい景色に暫くみとれていた。
→写真

(写真上・2007.9.17上石黒石黒校付近背景建物は教員住宅 
 右中2005.8.29.右下板畑 右上2005.6.12板畑)



                  花期

写真2014.9.14大野

        茎の断面から出る乳液

写真2007.6.20寄合

     
総包〔花の基部の多数の包〕の形

写真上・2007.7.30落合

          個体による葉の形の変化

写真上・2008.6.9下石黒



          ンマゴヤシの思い出
昭和20年代、私達が子供の頃は食用としてどこの家でもウサギを飼っていました。
 餌採りは子供の仕事でしたので夕方になるとウサギの喜びそうな草や葉っぱを捜し歩きました。一番喜ぶのが乳の出る草で「ンマゴヤシ」(アキノノゲシ)でした。手折ると白い汁が滲み出て手につき、乾くと茶色になり洗ってもきれいに落ちませんでした。
 他にもチチが出て似たような草がありましたが、子供に取っては「ケェゴ」(クズ)の葉も魅力の葉っぱでした。手も汚れずウサギも喜び、村外れの近くの山道でつるを手繰り寄せればあっと言う間に量が嵩むので胸いっぱいに抱きかかえて帰りました。
 日課の仕事であっても家に帰れば「よしてくいたなぇ」の親の一言は嬉しいものでした。秋口からは正月に向けて豆柄や芋類、穀物などを与えて一所懸命に肥らせたものです。
 又、当時の子供は日中野山で遊んでいても「ンマゴヤシ」だけは見つけると早い者勝ちで我先にとばかり必ず採って帰りました。
     大橋洋子(大野出身−受信2009.4.29)


解 説
キク科
 全国各地の道ばたや山野に生える一年草または越年草
 根は紡錘形
(下写真)。茎は直立して60〜200pにもなる。
 根出葉は開花時には枯れ(下写真)、茎や葉はやわらかで互生し、基部はハルノノゲシと異なり茎を抱かない。 
 葉の形は羽状に分裂しないものもあり変異が多い。葉に裂け目のないものはホソバアキノノゲシとして区別することもある
(左下写真)
 花期の頃には下部の茎葉も脱落する
〔下写真〕
 花期9〜11月であるが沖縄では通年。先端が枝分かれして直径2センチほどの黄色い花を上向きにつける。花びらの先には裂け目がある
(上右中写真)
 総包は開花前は円柱形だが花後は下部がふくらむ
〔左写真〕。花は、日中だけ咲き夕方になるとしぼむ。
 そう果は長さ5oほどで黒く、冠毛は純白色。
 名前の由来は「秋に咲くノゲシ」の意味。



飼いウサギの餌に適した頃

写真2006.7.20下石黒
 


 下葉が枯れて脱落する花期

写真2007.9.20下石黒

      紡錘形の根

写真2010.6.25下石黒

   多くの冠毛のある種子

写真2007.10.15下石黒

  カボチャ畑に生えた個体
写真217.9.26 下石黒