アゼスゲ | |
暮らしとの関わり アゼスゲは石黒では至る所に見られる。 昔はカサスゲやタヌキラン(方言イワスゲ)などとともに日常生活に多く利用された。 筆者には、子供の時代から「スゲ=有用植物」という観念がある。スゲで作ったミノボウシやミノ、カサ、などの生活用品の恩恵を受けて育ってきた人間であれば当然のことであろう。 昭和20年(1945)代の冬季に子供たちは、わら草履を履いて体育館で遊んだが、ホコリがたつためアゼスゲで作った草履が奨励されたこともあった。 スゲが縄文時代の初期にすでに生活用具の材料に使われていたという記録もあるという。まさにスゲは日本人の暮らしに欠かすことのできない植物であったといえよう。 (写真2005.6.9寄合) アゼスゲの群生 写真2009.5.18落合 長い匐枝と基部の褐色〜紫褐色の鞘 写真2008.9.30下石黒 基部の鞘部拡大 |
解 説 カヤツリグサ科 四国以外の全国各地の田、川、池周辺の湿地に多く自生する多年草。雌雄同株。根茎は短いが、長い葡萄枝を伸ばし横に伸びる(左写真)。 茎の高さは高さ30〜70pでざらつく。切り口は三角形(下写真)。基部には鞘があり一部に紫色がかった所がある(左下写真)。 葉は柔らかく長さは10〜50p。幅3〜4oで下面は粉白色を帯びることが多い。 5〜6月に3〜5個の円錐形の穂をつける。穂の長さ1.5〜5p、幅4.5o。上部の茶褐色のものは雄花、下部〔側生〕のものが雌花でほとんど柄がない。 雄小穂の鱗片は長楕円形で先端は鋭く尖り紫黒褐色、上部に白い膜質の部分がある。 果胞は楕円形で灰色の細かい粒状の点が一面にあり脈があり長さ3〜3.5o。上部には極めて短い嘴がある。柱頭は2個あるが早く脱落する。 アゼスゲは種の中での異変が著しい。 名前の由来は田の畔に多いことによる。 3稜あり切り口が三角形の茎 写真2009.5.9寄合 白色を帯びる葉裏面 写真2009.5.9寄合
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