ミノのいろいろ   
                      
 昔、石黒で使われていたミノは、各集落によって名称はことなりますが、次の5種類かと思われます。
@ドンボミノ
Aノメシミノ(ソデナシミノ)〔背中だけ二枚合わせ〕
Bマワシミノ〔廻しミノ〕
Cバットリミノ〔羽鳥ミノ〕
Dセナカコウジミノ〔背中コウジ〕

@のドンボミノは、形がトンボに似ているので、その名がついたらしい。
ドンボミノ
このミノは、天気のよい日とか、重い物を背負うときに主に使います。他のミノに比べて雨具としての機能はあまりありません。また、ドンボミノはコモヅツを使って編むので大変なのか作る人はあまりいませんでした。
 
Aノメシミノはソデナシミノとも呼び、背負い具としても雨具としても利用された。
ノメシミノ(ソデナシミノ)
昔は、どこの家でも最もよく利用されたミノでした。

Bマワシミノは、雨具としてのミノで、首の周りから、背中半分くらいまで、ヒョロロといって常緑のカサスゲに似たような草の葉でつくりました。
マワシミノ
どこにでもあるという草ではありませんので、作るときにはあちこち探して刈り取り、よく乾燥して使いました。
 軽くて水をはじくので雨具としては便利な物でした。雨の中、田まわりや川の増水時など、このミノを着て鍬を持って作業していた姿をよく見たものです。
 このミノは雨具専用で背負い具としては使ってはならないミノでした。

Cバットリミノは、隣村の人が着ているのをよく見かけました。
バットリミノ
大型で藁を多めに使って作られているせいか、見た目は随分と重そうな感じのするミノです。バットリミノは背負い具、雨具両用といってよいと思います。このミノは余り多くは使われていなかったようです。

Dセナカコウジはドンボミノに似た形をしていますが、要らなくなった古い布で作られているものもありました。布で作られた
セナカコウジ
ミノは、背負った物に傷が付かないように布で作られており、祝い物や菓子を背負うときに主に使われました。

 これらのミノを作るときには、ヌイゴ(稲の籾のつく柄の部分)を使いました。ヌイゴは藁から抜き取って、よく叩いてそれをそのまま使ったり縄になったりして使います。ヌイゴ1把とるのに藁20把必要でした。

また、昔は、ミノが古くなり使えなくなると、案山子に着せたものでした

 
田辺雄司 (石黒在住)