ミノボウシ    
  石黒ではミノボウシの材料に使うスゲを「タツノケ」と呼んだ。和名は「コシノホンモンジスゲ」と呼ばれるスゲである。
 タツノケは土用の頃に山から取ってきて良く乾かしてコモに包んで冬まで保管しておいて使った。(筆者が子どもの頃、ミノボウシを馬屋の近くに置くと干し草同様なため馬に食べられてしまうことがあるので注意したものであった)
  ミノボウシは、写真のように民芸品と呼ぶに相応しい美しいものであった。その上、冬季の被り物としては保温の面でも優れ、吹雪の時などは前を閉じるとあたたかかった。
 また、ワラボウシと異なり降る雪を留めないことも長所の一つであった。(ワラボウシはとくに湿った雪がボウシに付着して重くなり時々振り落としてやる必要があった)
 耐久性でも優れ十数年も使い続けることが出来た。強いて難点を言うなら厚いためにやや重いということであろうか。裏の網はヌイゴ縄を使った。頭部の横縄は「オナワ−苧縄」を使った。苧縄の材料〔カラ
ムシ〕も自家製であった。


資料→ミノボウシの裏の編み方