アカハライモリ(ニホンイモリ)
暮らしとの関わり色
 子どもの頃(1940年代)には家の脇にあるタネ(家に隣接した池)で普通に見られた生物であった。産卵後のころは水底にじっとしていて、時々垂直姿勢で尾を振りながら浮上して水面で呼吸した。その折に赤い腹が目立った。
 小学校低学年のころに、タネで釣りをすると先ず喰いついて釣りあげられるのがこのアカハライモリであった。厄介なことに釣り針を深く呑み込んでいて取り外すに手間取った。(ちなみに敗戦後の物のない時代で自家製の釣り針で針先に返しがないためフナなど針が外れてしまい釣りあげることが難しかった)。
 こんなわけで、本種は子どもにとって、人気のない生き物であった。特に腹の黒地に赤のまだら紋様は、少し気味悪いような印象を受けた。それは、彼らにとっては外敵に向けた警戒色であるが、どうやら人間にも通用したようだ。昆虫や両生類など何でも遊びの相手にした最強の当時の子どももクロサンショウウオニホンカナヘビは相手にしたが、本種やニホントカゲは敬遠した。
 ところで、ウェキペディアによれば、イモリは脊椎動物としては特に再生能力が高く、尾を切っても完全に骨まで再生するという。また四肢を肩の関節より先で切断しても指先まで完全に再生し、のみならず、目のレンズさえも再生することができるという驚嘆すべき再生能力をもった生物だという。
 子どもの頃にこの能力を知っていたならば、きっと本種に対する印象も大いに異なったことであろう。
 いや、この驚くべき能力を知った今も、人間の再生医療に役立てることが出来るのでないかなどと考えてしまう。

写真 2018.5.6 下石黒 道普請時に側溝にいたもの


解 説
イモリ科
 本州、四国、九州に分布する日本固有種
 池、沢、側溝などの流れのない淡水中に生息する。繁殖期以外は林や草地の水分の多い所の枯葉の下などに見られることが多い。
 冬は水路の落ち葉の下などで冬眠する。
 全長10p前後で4本の足と長い尾をもつ。背中から側面は黒褐色から茶褐色で腹面は黒面に赤色の枝分かれした赤色の紋様がある。模様は地域差、個体差があり全然紋様のない個体や赤紋様が背部まで達しているものも希に見られるという。
 本種はフグと同じ毒をもち、腹部の赤紋様は他の動物に警戒を促すためのもの。
 餌は昆虫やミミズなどの小動物で他の両生類の卵や幼生も盛んに捕食する。
 2006年には環境省レッドリストでも準絶滅危惧種として登録された。
 別名はニホンイモリ。
 名前の由来は「井守」で浅い井戸の中に生息することから井戸を守るとの意味という説もある。