アオバハゴロモ
暮らしとの関わり
 アオバハゴロモは、ツマグロオオヨコバイと共に子どもの頃から親しみを感じた小形昆虫である。特に、柔らかな色合いの美しい翅と一列に並んで木や草の枝にとまっているところが実に可愛らしく感じたものだ。近づくとくるりと枝の裏側に隠れる様も可愛い。
 また、捕まえてよく見るとツマグロヨコバイ同様にセミのような顔をしていることがセミが大好きの子どもには親しみを感じるのであった。
 しかし、その幼虫は白い蝋質の綿毛のようなものを分泌して、それをまとった姿は親しめなかった。
 とくに、蚕の餌にする桑の木を切っているとしばしば枝が白く見えるほどに付着していることがあったことを憶えている。
 WEB上の情報によればアオバハゴロモの学名の属名Geisha→ゲイシャは「芸者」であり、その白い分泌物を白粉にたとえたものであろう。

写真2010.8.1下石黒


     大きな翅で覆われた肢体

写真2010.8.1下石黒

       ガマズミについたアオバハゴロモ
写真2010.9.19下石黒

     ベッコウハゴロモと混生している様子

写真2014.8.17畔屋


解 説
アオバハゴロモ科
 本州以南、沖縄まで分布。主に照葉樹林に生息している。標高の高い所では少ない。本州中部以西から沖縄まで分布。
 翅を含めた体長さは9〜11mm。前羽は三角形で白色を帯びた薄緑色。翅の後ろ端の縁だけが薄茶色。胴体は大きな翅に隠れて見えない。
 後翅は白色を帯びた透明て前翅よりは大きい。触覚は非常に短い。後脚は見えないが長く発達している。
 木の枝などにとまるときには後翅を前翅の下にたたみ前翅は立てた状態で合わせるので横から見ると三角形のように見える。(ベッコウハゴロモは翅を水平に開いた状態でとまる)
 幼虫は成虫に近い形であるが翅がないために全然違って見える。幼虫は尾の端から白い蝋物質を分泌して束のように尻尾につけるのみか全身を覆い、とまっている木の枝にもつけるため枝全体が白く見える(下写真)。
 食性は野生の木や草の樹液であるがミカンや茶等につくと害虫として嫌われることもある。
 枯れ枝の皮下などに産み付けられた卵で越冬し5月頃に孵化した幼虫は8月ごろから羽化して秋まで見られる。



      幼虫と成虫

写真2014.8.17畔屋

       横から見た姿

写真2016.7.31田塚