ベッコウハゴロモ

暮らしとの関わり
 石黒では普通にみられる。
 子供の頃にクワの木の枝の一部が白くなっている(この幼虫が多数あつまって吸汁していたもの)のをよく見かけた。当時の子どもにとってクワの木は桑いちごの実る木であり、養蚕の盛んな時代でカイコの餌でもあったので身近な樹木であった。
 しかし、このクワによく付着しているフワフワとした白い物が昆虫であることなど思いもよらず、木の病気で発生した白カビくらいに思い込んでいた。今にして思えば、ベッコウハゴロモの擬態(隠ぺい)能力は中々のものであったということになる。
 一方、成虫の方は可愛らしく、よく見ると頭部はセミによく似ていて親しみを感じたことは今でも憶えている。
 また、ベッコウハゴロモは、広く全国に分布するが個体数は少ないらしく、先日、NHKのマイビデオで放映され、珍しい生き物との説明があったとのことだ。
 また、名前のベッコウハゴロモの「ベッコウ」は成虫の翅の様子から、そして「ハゴロモ」はおそらく幼虫の尻についた白い糸状の部分によるものであろうと思われる。
 ※右上写真は脱皮直後の幼虫であろうか、未だ尻の糸状の部分が見られない。

写真2012.8.20・右上下2012.9.2下石黒 政栄

           成虫の拡大写真

写真2012.9.2下石黒 政栄

解 説
ハゴロモ科
 本州から九州までの平地から低山地、市街地にも分布。
 全長(翅端までの長さ)約9〜11mm。体長6〜8mmほど。
 幼虫の体長は3mmほどで尻に白い糸状のロウ物質を放射状につけている。
 幼虫の食草はクズやミカンなどのカンキツ類、、クワ、チャなどその他の広葉樹。
 名前の由来は成虫の翅のいろによる。


寄り集まったベッコウハゴロモ
写真2012.8.20下石黒 政栄