ヒグラシ
暮らしとの関わり 　石�Kでは「カナカナ」と呼んだ。夕方、家の周りの樹木にとまって甲高い音で鳴いた。子どもの頃、観察するとオスの紙風船のような腹の部分が微かに震動していたことを憶えている。 　また、個体ごとに観察してみると、体の色に違いがあるばかりではなく鳴き声にも特徴があることも知った。家のすぐそばの杉の幹に数十匹が一斉に鳴くとうるさく感るほどだが、遠くから聞こえるヒグラシの鳴き声は鈴の音のようで心地よいものだった。 　ヒグラシは、朝や夕方、あるいは夕立の前などに一斉に呼応するように鳴く習性がある。暑い夏など窓をあけて寝ていると朝はヒグラシの声で目覚めたものだった。 　子どもの頃、夏休みになると、朝、未だ暗いうちに数人の友と、ツマキダ(地名-大野集落と下石黒の間にあるブナ林)のブナ林に蝉捕りに出かけた。その時、暗いブナ林の中で遠くから聞こえたヒグラシの大合唱は、70年余過ぎた今も耳を澄ますと、はっきりとよみがえる。→子どもの暮らし ※ビデオ資料-夜明け前伸びヒグラシ （写真2007.８.２ 下石�K）	解　説 セミ科 　北海道南部から九州に分布。杉や檜林を好む。 　中型のセミで，日本各地にふつうに見られる。 　体長は雄32〜39mm，雌23〜28mmでオスの方が大きい。前翅の開張78〜92mm。 　からだの色は頭と胸が黒褐色、腹は暗褐色ではねは透き通っている。雄の腹部は袋状で，腹弁はうろこ状で互いに離れる。雌は腹部が短く，産卵管は腹端を超えない。 　胸に緑色の斑紋を持っているが変異が多くからだ全体が褐色や黒のものも知られている。 　名前の由来は朝や日中の夕立まえ等、また夕方に鳴くことから、「ひぐらし」−「終日」鳴くの意味からであろう。