クスサン
暮らしとの関わり
 昭和20年代は、子供にとってスナンタロウ(クスサンの幼虫)は、釣り糸テグスを作るための貴重な存在であった。
 出来るだけ大きなクスサンの幼虫を捕るために栗の木に上って枝を揺すって落とした。落ちた虫から大きなものを選んで真ん中から左右に引っ張って裂く、そして、腹の中から出てきた絹糸腺を酢に浸して、指先でしごくとテグスが出来た。(子どもの暮らし参照) 
 しかし、このクスサンの幼虫は、大発生すると、栗の葉を食い尽くしてしまう害虫であった。また、成虫の大きな蛾は、灯火に寄ってきて家に入り込んで飛び回り嫌われた。 
 この蛾には意外な天敵がいた。それは狸であった。村の消防小屋などの街灯に寄ってきた蛾を狸は巧みに捕らえて、羽だけ残して食べた。 クスサンの成虫を食べるタヌキ写真→クリック
 2001年には石黒地区ではクスサンの大発生か見られた。 筆者の生家の庭にある大切なクリの木にもおびただしいクスサンの幼虫が見られた。筆者は10cmほどに成長した幼虫を高枝切り鋏で駆除した。
 その折に10mほど離れた崖下に落下する幼虫もあるがすべてがクリの木の根本に向けて這い寄ってくるから驚く。どのような能力で木の位置を感知するのか知りたいところだ。

資料→ヤママユとの比較

(上写真2005.10.2上石黒 右下2005.5.3下石黒)


              雌(左)と雌(右)

         交尾中のクスサン

(写真2007.9.14 上石黒)

                繭の拡大

写真2005.5.3下石黒
解 説
ヤママユ科。
 北海道から屋久島まで分布する。
 卵から孵った幼虫は黒色から薄緑色にかわり白い長い毛に覆われる。主にクリクヌギコナラの葉を食べる。春に孵化し7齢を重ねて夏に茶色の固い網目状の繭をつくる。 
 成虫の蛾は大形で前羽の長さが7センチ近くまで達するものもある。体色は褐色から黄褐色まで様々である。(→写真)
 雄雌では、触角の形が異なる。(下写真)名前の由来は不明。



 雄(下)と雌(上)の触角比較


写真2007.10.4 下石黒

        幼虫
写真2005.5.3 上石黒

    翅の色のいろいろ

写真2007下石黒・寄合

柏崎市街地の街頭下にいた個体

写真2016.9.16長浜町