さし俵
                         田辺雄司
 昭和20年代までは、石黒では飯米は秋に精米して、俵に詰めて座敷の天井の太い竿につるしておいたものでした。
 この俵は二重になっていまして
 さし俵とは、この俵をさらに覆うためのもう1枚の俵のことです。
 さし俵は下図のように幅は普通の俵よりも長く織って、端に稲の株にの方を出してありました。その藁と編みこまれた4本の縄を亀の甲羅型に編んでサンダワラの代わりにしました。
 このように二重に包んでおく理由は虫がつかないためと言われていました。しかし、翌年の夏ころになると大方は俵の中の米には虫が発生したものでした。
(※昭和30年代になるとトタンの米貯蔵タンクが普及して俵による貯蔵はおこなわれなくなりました)
 米を取り出す時にはアシツギ(踏み台)に上がって左肩に(ミ)を担ぐようにして持ち、右手で米サシ竹を俵にさします。すると米が竹筒を伝わってミの中に落ちてきます。適当なところで差し竹を抜いて差した部分の藁を整えておくのでした。
 さし俵の作り方と包み方を下図に示しました。ついでに右に普通の俵のフタであるサンダワラの作り方も参考までに描いてみました。




   文・図 田辺雄司 (居谷)