民具補説
               テ   ゴ
 テゴは昔はどこの家にも一つや二つはありました。ものを入れて運ぶには大変重宝なものでした。山菜採りには欠かせない道具の一つで、春のノノバから始まり夏のミズナ採りまで使われました。
 それから、夏になるとマクワウリやスイカなどを入れて背負ったり、また、多勢で山〔作場〕へ仕事に行くときにはお昼ご飯や中飯をメンツやワッパに入れてテゴに入れて山に背負っていきました。
 また、テゴに布製の背負いヒモを取り付けて背負ったり、ニナワで背負うことも出来たので本当に便利な入れ物でした。テゴを背負って山の中を歩き回り沢山の山菜を採ってきたものでした。
 テゴは作るには、それほど面倒なことはなく、冬のワラ仕事とひとつとして作っておくのでした。テゴの底を編む場合は手編みをする人と俵編みのウマ(台)でコモヅツで編む人がありました。テゴのあまり幅の大きいのは両端にだらりと下がるので、50〜60pほどの幅で作る人が多かったと思います。

                    文・図 田辺雄司(居谷)