ワッパ(メンツ)     
 石黒では丸形(下写真)のワッパの方が多く使われた。
 石黒は田畑が遠くにあることから特に日の短い秋は昼食の弁当を、また日の長い初夏はコビリ(中食)を持参した。
 その入れ物にワッパが使われた。ワッパには大小数種類があり使い分けた。大きなワッパにはご飯を小さなワッパには漬け物や味噌などを入れた。ワッパは通気性があるためご飯は美味しく保てた。
 1人で上の写真の大型のワッパに詰めたご飯を食べたものだという。副食といえるほどのおかずはなかった当時は驚くほどのことではなかった。フタが深いので食器として使えることも便利であった。
 また、多くご飯を詰めるときには、フタにもご飯を盛って両方を合わせて持ち運んだものだという。 
 筆者は中学生の頃、秋の農繁期などにワッパに詰めたご飯を食べた経験が何度かあるがアルミの弁当箱に詰めたご飯よりも美味しいことは確かである。
 今でも忘れないのは、七十余年前、稲刈り時に作場ホウノキヤマで食べたワッバ飯である。七分搗きの俵で保存した劣化米であったであろうが・・・・。実に今もってこの時ほど御飯が美味しいと思ったことは未だない。

(参照→衣食住の食)